失恋という言葉は知っていたけれど・・・
♪失恋という言葉は知っていたけれど
と唄うのは、かぐや姫の「好きだった人」だが、人生にはこのレトリックで語りたいことが何度かあった。
「来月の1日からフリーアドレスになります」
上司からそう言われたのは、久しぶりに出社勤務した日の午後だった。
「机の上も、引き出しも、私物は一切置けませんから、それまでに片付けてください」
と言われて、僕は笑ってしまった。
その上司の机の上はいつも、書類が雪崩を起こす一歩手前だからだ。
本人が居ない時に、書類を置く作業は、いつも僕らを悩ませる。
どこに置いたら、風景にならないだろうか?
人は違和感があるモノしか目に入らない。
いつも整理整とんしている人は、そこに書類という異物が置かれると「なんだろう」とすぐに開封して確認したくなる。
だが、そこらじゅうに書類が積まれていると、いったい、どこが風景に埋もれないのかがわからない。
このあたりですかねぇ?
たぶん^^;)
いつも、主のない席でみなが失笑している。
フリーアドレスは住所不定ということではない。
「会社に自分の定席がない」ということだ。
ずいぶん、長い間、会社に来れば、自分の席に直行する。
荷物を置いて、パソコンを引き出しから出してLANケーブルをつなぐ・・
夏休みで里帰りした時
手術で入院した時
親の還浄による忌引きの時
どれだけ長く居なくても「会社に自分の椅子がなくなる」ということは無かった。
フリーアドレスという言葉は知っていたけれど
現実に自分の身に置き換えたことはなかった。
朝、会社に行く。
まず、自分のロッカーに直行する。
恐らくそこにはトレーのようなモノを設えて、そこにパソコンや筆記具が納まるようにするのだろう。
確か、コロナ禍が始まった頃、経済ニュースで見たことがある。
今日は何処にしよう?
きょろきょろとあたりを見渡す
相手のことも考えると、できるだけ空いている所を選びたい。
ようやく、空きスペースを見つける。
近くに座っている人は、知らない人だ。
在宅勤務が始まって以来、新しく人が入っても、それが誰かが把握しづらくなったからだ。
ここ、いいですか?
すると、100年早いわといった顔で「はぁ」とか言われる。
だからと言って、じゃやめとくとやると、角が立ちそう。
朝からもう帰りたい(笑)
きっと、そんなことにならぬよう、朝早く行く。
皆も同じことを考える。
ひょっとして、前の晩から、それとなくモノを置いて場所取りする輩が現れるのではないか。
花見か
仲良しの同僚と示し合わせて「席をとっておいてもらう」行為も心配だ。
ということで、きっと在宅勤務をするのだろう。
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