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2021年12月11日 (土)

公務員の勘違い 定年まで2年「半」

誕生日には、いつも姉からのメールが届く
この歳になると(いや、ずいぶん前から)誕生日を祝ってくれる人はとても少ない。
誕生日を覚えていてくれて、こうしてメールをくれるのは郷里に住む姉だけだ。

「あと、定年まで2年半ですな。」

ん?2年半?

サラリーマンの方ならば、おわかりかと想うが、誕生日を迎えた時点で定年まで「2年半」のように「半」がつくことはない。
それは、切りよくあと「2年」とか「1年」になるはずだ。

姉は定年退職が、年度末の3月31日だと想っているのである。
かくいう僕も20年前まではそう想っていた。


社会に出てから30代までは出先にいたので、周囲の同僚は20~40代まで。
同僚が定年を迎えるということはなかったので「定年退職のタイミング」を意識することは無かった。


ただ、その頃から定年に対する憧れだけはあった。
60歳になれば誰もが定年退職する。
それは疑うことのない事実。
定年すれば、もう働かなくていい。
当時は、年金であるとか自らの老後の資金といったことには無頓着だったが、きっと、慎ましく暮らせば生きているくらいのお金がもらえるのだろうと漠然と考えていた。

当時は仕事が楽しく、人間関係にも悩んでいなかったので「ここから早く逃げ出したい」といった気持ちはなかった。
ただ「老後」という甘美な言葉を遠い未来にイメージするだけ。
同僚に対して「あぁ早く定年したい」とわざわざ口に出しては、変わり者を演じていたのである。


定年を初めて、身近なものとして捉えたのは20年前。
出先を追われて、情報システム部門に異動してくると、逆にそこは40~50代の社員ばかり。
そこで初めて「同僚が定年を迎える」というイベントに立ち会うことになる。

季節は秋
部長から「権田さん送別会のご案内」というメールが送られて来た。
権田さんは「パソコンには詳しいけれど、システムのど素人」だった僕に、SEとしての基本を指導してくれた人。その権田さんが退職するらしい。恐らく定年を迎えたのだろう。

案内メールには、箱根の温泉に浸かった後、宴会する日帰りプランが書かれていた。これまでに経験した(異動の)歓送迎会とは違い、退職ともなると、これくらい大げさにやるのだな・・と感心した。
それと同時に、秋という中途半端な時期に退職することに違和感を持った。

「権田さんは独身貴族だから、任期を半年残して辞めるのですか」
世の中の酸いも甘いも、まだ噛みしめ切れていなかった僕は、こんな軽さで本人に問いかけた。
権田さんは少し驚いてから、ぶっきらぼうにこう言った。
「誕生日だからな」


僕はこの時まで、定年退職は「60歳を迎えた年度末」だと確信していた。
それは、父が公務員だったからだ。
公務員の定年退職は年度区切り。姉も僕もすべての定年はこのルールで行われると想っていた。
姉への返信メールでは、あえてこの「半年」の勘違いには触れなかった。
その1年後、つまり、定年まであと1年となった誕生日。
姉からのメールには

「あと1年半で、退職ですな。早いものです。」

さすがに今度は、こう返した。

民間会社は誕生日の前日で退職なので、あと364日です。
僕も初めて職場の先輩が定年する時までずっと3月末で辞めるものと想っていました(20年前)

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