サラリーマンを長くやっていると、仕事や職場にワクワクすることはない
1日のオフでワクチン2回めの熱は下がり活動4日め。
東京はいよいよ夏本番の様相を呈しており、そろそろ青ジャケが暑くなってきた。
*トップスはポロシャツ(青シャツ)と上に羽織る長袖のジャケット(青ジャケ)が支給されている
「オリンピックのボランティアですか?がんばってください」
急な雨に遭い、傘を買うために立ち寄ったローソンで、女性店員さんが声をかけてくれた。
この時点で大会までは10日ほどあり、競技映像で頻繁に青シャツが映るのはまだ先の話。
恐らく、香取くん達が着て登場したユニフォーム発表会を見たのだろう。
「3日めが始まる前、あんな1日が待っているとは想わなかった。今日はどうかな、ワクワクするね」
この時、iPhoneのメモにこう記録している。
サラリーマンを長くやっていると、朝、職場に向かっていて「ワクワクする」なんて想うことはない。断言する。
「新人のマリちゃん可愛い」とか「新人のショウ君超イケメン」みたいな人がいれば、ワクワクということもあるかも知れない。
だが、それは対人間のはなし。
仕事の内容そのものに対して「ワクワク」という言葉は無縁だ。
通勤電車で寒色の衣服に身を包み、ビル群に向かうサラリーマンの行軍は空気が重い。
満員電車に押しこまれ、言葉さえなくしたように見える大人たちを見て「あれはムリ」と歌の道に進んだ尾崎豊に共感する。
今日の月次営業会議、未達成の言い訳が通るかな?
とワクワクする・・ことはない。
企画プレゼン、部長からゴーが出るかワクワクする?
かというと、それはドキドキくらいだろう。
ワクワクはそこに自分ではない誰か、人という要素がないと起こらない。
選手村の仕事は「何をするのか」「誰とするのか」ということが、その日により違い、その日にならないとわからない。
しかも、その「誰」は「見知らぬ誰」かだ。
これは、サラリーマンに置き換えれば、朝、出社したら「サトウさん、今日は田中商事のスズキさんという人とチームで、経理伝票の仕分けです」と言われるようなものだ。
常日頃、企業にもこんな趣向があっていいと想っている。
年に1度「他部署体験ウィーク」があって、いつもと違う仕事を、いつもと違う仲間と共に取り組む。
「経験した事が無い仕事は、本当のところはわからない」
というのが僕の持論だ。
相手と少し話しただけで(インタビューと言う)すべてわかったかのように話すコンサルやSE。
そんな何もかもわかった口を聞くやつを「親しげじゃないか」と佐野元春は柔らかく唄っているが※、僕ならば「あなたに一体何がわかるのか」と想う。
朝行くと、その日誰と何をするのかが決まる。
そんな仕事が2ヵ月つづく。
それが、選手村の貴重さだ。
これはオリパラスポーツボランティアという経験でもあるが、選手村という特異な境遇の経験である。
ただ、そう気づいたのは、後に活動も半ばになった頃。
ようやく、目の前の境遇を落ち着いて整理して考えられるようになってからだ。
この頃はまだ、次々に現れるワクワクに心奪われ始めていた。
※佐野元春「ブルーの見解」
アルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」に収録
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