まるでオカルト スタジオ1990のオートリワインド機構
「A LONG VACATION」がA面最後の「我が心のピンボール」にさしかかる頃、夜も更けてきた。
区分所有住宅では、遅くに音楽を聴くのは気が引ける。
このアルバムで一番のお気に入り、B面の「恋するカレン」を聴きたいところだが、もう時間がない。
ここでひとつ思い立った。
そうだ。オートリワインドを試してみよう。
それは、スタジオ1980にはなくて、1990だけに装備された機能。
子どもの頃、周囲に1980、1990を持っている友だちは居なかったので、その機能がどのように作動するのかを見たことがない。
[EJECT]ボタンのすぐ右にあるTAPE OPERATIONは、3つのポジションをレバーで切り替える。
AUTO SHUT OFF
AUTO REWIND
AUTO REPEAT
テープが回っているうちに、レバーを AUTO REWIND に倒す
A面が終わりテープが終端に達する
ここでテープの逆回転(REWIND)が始まる
・・のだと思っていたが、目の前に驚愕の映像が現れた
なんと、巻き戻し[REVIEW]ボタンがガチャンと押しこまれたのだ。
え゛ーーーーーどげんなったとぉ
誰が、押したとぉ
のちに出た「フェザータッチ」という電子的なボタンと違い、ラジカセのボタンは重い。指に力を込めないと押し込めない。
長いこと生きてきて、メカというメカを見て来たが、こんな、オカルトのような機構は初めてだ。
どう考えても、おかしい
自然の摂理に反している
ボタンをキャンセルするのならば、メカニカルなフックを解除すればいい。
だが、ボタンを押しこむギミックが想像できない。
僕からみて、ボタンが押しこまれているということは、機械側からすれば、ボタンを引き込んでいるということだ。
現代のデジタル社会において、スイッチを自動でオンにすることは、驚くに値しない。
だが、時は1976年、アナログのメカで、いったいどんなギミックを使っているのか。
それ以前に、たかだか「自動巻き戻し」のために、普通そこまでやるか?
SONY というのは、現代においても、何をやるかわからない企業だが、当時もきっと、スゴかったのだろう。
そして、もう1つの驚きは、この奇跡のようなギミックが45年の時を超えて、今も作動していることだ。
これだけ、古いラジカセなのだから、あちこちガタが来ても不思議ではない。
ライトが付かない、電池では動作しない、メーターの針が振れないといったことがあっても「ラジカセなんだから、テープが廻って音が出れば御の字」と自分を納得させることもできる。
スタジオ1980、1990は同じ出品者から購入した。
整備がしっかりした良心的な方に出会ったことを、ラジカセの神様に感謝しなければならない。
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