2枚のアルバムを1本のカセットに入れて売っていた時代があった
井上陽水のデビューアルバム「断絶」
井上陽水のオリジナルアルバムでは唯一、単独タイトルのカセットが発売されていない。
ないものは仕方が無いと諦めていたある日、ヤフオクで「断絶」と「氷の世界」が収められた「DOUBLE PACK」を手に入れた。
新作アルバムの「音楽カセット」が売られていた頃、つまり1970年代から1990年代前半において、音楽カセットは日陰者だった。
今風にやんわりと言えば、マイナーな存在だ。
レコード会社やレーベルが発売する正規品なので、値段はレコード(のちCD)と変わらない。
ただし、音楽生活においての使い勝手が違う。
レコードは個人で楽しむ範囲であれば、カセットに録音できる。
レコードに傷を付けたくないので、日ごろ気軽に聴く時はカセットで聴いていた。
一方「音楽カセット」は予備をつくることができない。
1970年代、ダブルカセットはなかったし、あったとしてもダビングには「ヒスノイズ」という課題があった。
音楽カセット?誰がそんなもの買うの?と音楽ファンは想っていた。
「DOUBLE PACK」は、そんな時代に音楽カセットを売ろうと企画されたのだろう。
Beatles(ホワイトアルバム)のように、元々2枚組だったアルバムを1本のカセットに収めて売るという例はある(ホワイトアルバムのカセットは2本組と1本売りの2種類がある)
だが、DOUBLE PACKはまったく別のタイトルを1つの商品に収める、いわばセット販売。これが、高校受験教材ならば、消費者センターから注意を受けるところだ^^)
これまでに確認した"2枚組"カセットは以下の4種類。
【1】井上陽水:断絶/氷の世界
DOUBLE PACK 3,800円 38CX9029
【2】井上陽水:陽水Ⅱセンチメンタル/二色の独楽
DOUBLE PACK 3,800円 38CX9030
【3】南こうせつ:かえり道/ねがい
Double LP 3,600円 CNT-4027
【4】エアサプライ:ロストインラブ/シーサイドラブ
LP2枚inカセット 3,500円 35RT1
【3】【4】はリリースが連続する2つのスタジオアルバムのセット商品。
南こうせつもエアサプライもこれ以外のDOUBLE PACKは出していない様子。
南こうせつの「かえり道」「ねがい」は、かぐや姫を解散してソロデビューした最初の2枚。彼は「22才の別れ」をヒットさせた風と共に、ニューミュージックブームの中心となった。この2枚がこうせつの傑作2選だと言える。
エアサプライの2作品は、1980年「ロストインラブ」1981年「シーサイドラブ」と続く。1982年「ナウ・アンド・フォーエヴァー」で絶頂を迎える直前の2枚。
これら2つのDOUBLE PACKは、消費者側にも魅力のある企画だ。
「かえり道」単品のカセットは発売されているものの、中古市場にほとんど出ておらず、ラジカセ生活再開用のコレクションとして、DOUBLE PACKを手に入れた。
エアサプライのDOUBLE PACKは、中古市場に多数出ており、かなり安価で手に入る。
一方、井上陽水の2タイトルは、リリースが連続していない。
【1】1枚め「断絶」と4枚め「氷の世界」のセット
【2】2枚め「センチメンタル」と5枚め「二色の独楽」のセット
井上陽水は「二色の独楽」を最後にポリドールを離脱。「招待状のないショー」以降はFOR LIFEから発売している。
ポリドールが、3枚めの「陽水ライブもどり道」を除く4枚のスタジオアルバムで、もう一儲けしたいと考えるのは理解できる。
ただ、なぜこの組合せだったのか。当時ポリドール社員だった方に聞けるものならば聞いてみたい。
本来ならば、井上陽水のDOUBLE PACKには"聴くコレクター"としての購入意義はない。
だが「断絶」の単品カセットが存在しておらず、このデビュー作の全編を聴くにはこのDOUBLE PACKを入手するしかなかった。
※井上陽水の企画音楽カセットとして「夢の中へ・断絶」があり「断絶」12曲中「限りない欲望」「家へお帰り」を除く10曲が順不同で収録されている
DOUBLE PACKには「ひっくり返さないで聴ける」というメリットもある。
断絶のもう片面に入っている「氷の世界」は単品も所有しているが、専らDOUBLE PACKの方で聴いている。
また、置き場所が限られている場合、スペースを節約できる。
ビートルズのホワイトアルバムは、始めに2本組を入手したが、後に1本ものに買い換えた。
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