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2022年1月24日 (月)

年賀状は贈り物 加筆された文字数は平均で 20.1文字

「年賀状は贈り物だと思う。」

これは、日本郵便が2007年に平成20年(2008年)用年賀キャンペーンで謳ったキャッチコピー。
作者は2014年に亡くなったコピーライターで、東急電鉄沿線広報誌「SALUS」に「大人の迷子たち」(のち書籍化)を連載していた岩崎俊一さん。

年配の方ならば、このコピーに共感する方が多いと想うが、自らが贈り物だと想って書いているかは別の話だ。

年賀状は、挨拶と手短なお愛想を書いたあと、自分の住所を書いて、住所録から住所を写して宛名を書かなければならない。
無精な人にとって、年賀状というのは苦行だ。

不精者は自分でやりたくないことは、誰かか何かの力を借りる。
1990年代までは印刷屋さんがそれを担っていた。

文面は「謹賀新年」「旧年中は世話になった。今年もよろしく」的なことが慇懃に書かれていて、住所氏名が載る。ちょっと費用を奮発すると干支の動物の絵柄が添えられる。
それでも、表書きは自筆で書かなければならなかった。

書道の心得がある人は、ここぞとばかりに達筆を披露する。
しかし、そこで力尽きる。
従って、本文に「個別メッセージ」は書き足されていない。


2000年代に入って、各家庭にパソコンが普及すると、不精者は一斉にパソコンに食いついた。
パソコンは、本文から表書きまでこなしてしまう。気の利いた人ならば、デジカメで撮った写真を入れることもできる。
ここで、ついに不精者は「一筆たりとも自筆しない」環境を手に入れた。
2010年代、2020年代、その流れは変わっていない。
この20年、年賀状には技術革新が起きていないのである。


2022年正月、手元に届いた年賀状のうち「個別メッセージ」が書き足されていた比率は 55%
これは年々上がっている。
それは、人々が「年賀状は贈り物だ」と気づいたからではなく、元々贈り物だと想っていなかった人が年賀状から撤退した、あるいは、僕との関係が切れたからだろう。

加筆された文字数は平均で 20.1文字
試しに20文字書いてみたら20秒かかった。文面を考える手間もあるので、一人あたり30~40秒の時間をかけてくれたことになる。

僕はそれを 5秒くらいで読む。
その時、書いてくれた人の顔や性格を思い出し、僕に抱いている感情を想像し、こうしてひとこと添えてくれたことを、とても嬉しく思う

イヤなやつに「個別メッセージ」は書かない。
そもそも、年賀状を出さない。儀礼としてやむを得ず出す場合、個別メッセージは添えない。添えようにも「元気ですか」「今年もよろしく」といった小学生みたいな言葉しか浮かばないからだ。


長崎市の知人
「今年こそ長崎を走れそうですか」

かつて、その知人に贈った年賀に、僕はこう書いていた。
2020年「今年は長崎平和マラソンを走ります」
2021年「今年こそ長崎平和マラソンを走ります」

※長崎平和マラソンは被爆75周年事業として2020年に開催予定だったが、コロナ禍で2021年に延期。それも再度延期されている。

沿道に住んでいる彼はきっと、応援に出てきてくれるだろう。大会が近くなったら、こんな服装で走りますと写真付きのハガキを送って催促しよう。
しかし、その機会は訪れていない。
恐らく、知人は長崎平和マラソンが2021年→2025年(被爆80周年事業)に延期されたことを知らない。

2025年の長崎平和マラソンは必ず走りに往きます」
2023年の年賀に、僕はこう書くだろう
80歳を超える彼が、健康でいてくれることを祈る

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