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2022年2月13日 (日)

中学生はなぜヨコ一列に並ぶのか?

閑静な住宅街
時折、渋滞する幹線道路を避けて侵入してくるクルマが猛スピードで駆け抜けていく。
その道路の両脇には一段かさ上げされた歩道がある。
大人ならば2人、または大人1人犬1匹が通行できるほどの幅

道交法を守り誰もが右側歩行すればよいが、一方が左側歩行した場合、辛うじてすれ違うことができる。

向こうから下校途中の中学生がやってくる
集団下校ではないが、ある程度の人数だ。

男の子たちは2人並ぶのが精一杯の歩道に4人が並んで歩いてくる。
これから麻雀に行くわけではないだろうから、1人くらい欠けたって構わないはずだが、それでも隊列を大切に守っている。
朝からずっと一緒に居たのに、なぜ、下校の道でそんなにくっつかないといけないのだろう。


歩道の幅は大人ならば2人。
身体が小さいから3人までは歩道の上を歩いているが、1人だけ1段低い車道を歩いている。仮にササキ君としよう。

時折、クルマがくるとササキ君は、歩道に上がり、仲間たちの後ろにまわる。
クルマが行き過ぎると、再び、車道に降りてヨコ4列の隊列を堅持する。
もしかして、名前はササキケンジ君かも知れない。

女子中学生の場合、たいてい列は2人までなので、こんなことはない。


ケンジ君は相手がクルマの時は、一旦列を崩すのだが、相手が僕の場合、列を崩さない。
あたかも「あなたのことは眼中にありません。だって、僕らおしゃべりに夢中だから」の体を醸し出している。


なぜ、君がそうまでしてヨコ一列にこだわるのか
僕にはわかる気がする。
君はその列に置いてもらうことで、自らの存在を確認しているのだ。

自分は仲間と共感を醸成しており、皆から認められた存在だ。
仲間が口にする他愛も無い言葉は、自分もその発言対象に含まれている。
だから、僕は仲間と互いに顔の見える位置にいて、相づちをうつし、大げさに笑う。それを誰もが自然なことだと想っている。


ケンジ君よ
それは幻想だ
人は誰もが機嫌良く過ごしたい。他の誰かと同じように。
だからと言って、誰かの周りでぐるぐる廻っていることは、君の成長につながらない。
その甘い関係がいつまでも続こうが、続くまいが、君がその列に、その場所にこだわることで得られると考えている果実は暫定的なものだ。

今、君はその頑なに守ろうとしている居場所が、君の熱量を奪うに値するものなのか、立ち止まって考えたほうがよい。


ケンジ君たちの列から7mほど後方から、1人の小柄な中学生サトウ君が歩いてくる。
学校が指定したカバンやデイパックが、その体重を大きく圧倒していて、罰ゲームで他人の荷物を持たされているように見える。
賑やかな4人組を見たばかりのせいか、心なしか寂しそうに見えなくもない。

サトウ君よ
君が歩いている道は悪くないぞ
できれば、どこかで楽観の意志を手に入れて、まっすぐ歩いて行くことを祈る

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