« 原博実フットボール本部長就任から3勝1分1敗の大宮をトラスタで迎え討つ | トップページ | 課題をこなし、ツキもあり、誤審も受けず。半歩前進の日 »

2022年5月14日 (土)

たった一人、連絡先を交換した選手村仲間との出会い

大月さんとの出会いは衝撃的だった

外回り営業をしていた頃は、訪問先でよく怒鳴られたものだが、IT部門の内勤になってからはほとんどない。
選手村活動の二ヶ月間では、感謝の言葉は何度か聞いたが、誰かに怒鳴りつけられたのはこの1度きりだ。
本来ならば、こんな人ほど「一期一会」で終わりたいと思うところだが、現時点で、大月さんは閉村後に会った唯一の選手村仲間となっている。


この日のシフトは「受付②」で、数カ所あるレジセンの何処かに入る。
Field Castは皆、集合場所に集まり、そこに、レジセンの職員さんが迎えに来て、その日の行き先が決まる。
誰が迎えに来るかは日時によって異なり、その役割を僕は勝手に「お迎え」と呼んでいた。

Field Castがその日、どの棟に行くかは、予め決まっているのではなく、たいていは「英会話に自信があるか」「レジセンが初めてか」「(行きたい棟の)希望があるか」といったやりとりが行われ、スキル、経験、希望によって決まる。

「お迎え」に来る職員さんは、たいてい2人
今日は既に顔なじみになった佐野さんと銀座さん
さぁどうしようか・・と出席簿から目を上げた銀座さんと目が合う。僕は特に意味もなくにっこり笑う
「じゃ、motoさんはうちで」
すると佐野さんが慌てて「ダメですよ。うちがキープです」とやり返す

後にお約束になる、2人による争奪戦
僕はそれを見ながら大げさに笑う。照れ笑いだ。
冗談とはいえ、自分を巡って誰かが争うなんて、こんなの見たことない。

僕は最初に研修を任せてくれた佐野さんが居るB棟に入り、リーダー役を任された。
朝の時間帯は選手団からのリクエストはまばら。
手が空いている時間を初期研修に充てる。

それは、会議室で「レジセンサマリー」の説明を終えて、レジセンに戻り、カウンター周りの仕事について説明しようとした時だった。

「誰も迎えに来ないとはどういうことだ」

背後から怒声が響いた
驚いてふり返ると、僕よりは年配と思しき男性。青シャツを着ているところをみると、僕らと同じボランティアだ。

集合時間どおりに集合場所に来たら、誰も迎えに来ていなかった。そこで、A棟に行ってみたところ、B棟、すなわちここに行くよう言われた
彼は張りのある声で、手短に述べた

語気は荒いが、身の危険を感じるということはない。
ココがどこかの繁華街で見知らぬ人だったら怖いが、ここは選手村であり、相手は事務局によって素性が把握された人である。


彼がまくし立てる間、僕はこんなことを考えた
どうしよう、怒ろうかな
いや、こちらにも怒る理はあるが、今はその局面ではないだろう。この場を任せてくれている佐野さんとの信頼関係の方が大事だ。
僕は、この選手村活動に入る時、謙虚に冷静に努め、少々想うところあったとしても、いがみ合うようなことはすまいと心に決めていた。

研修をしているため、僕だけが違う向きであることから、彼の矛先は僕に向いていた。
さぁ、どこに落としどころをつけようと考えていると、声を聞きつけた佐野さんがバックヤードから顔を出し、こう言った。
「そういう言い方はやめてください。この方も、あなたと同じボランティアさんです」

どんな手違いがあったのかは置いた佐野さんが詫びて、大月さんは、そのまま同じシフトに入り、僕の説明を静かに聞いた後でこう言った。
「motoさんの説明はわかりやすい。滑舌もいいし」


僕は「煙たがられている人」と仲良くなることが多い。
きっと、僕自身が同類の人間だからだろう。

大月さんの名誉のために言っておくと、彼は多くのField Castから慕われる人気者となった。
もちろん、彼を煙たいと想った人もいたと想うが、それは、彼が諭す必要を感じた相手だろう。


大月さんと僕は、その後、選手村のあちこちで顔を合わせ、同じシフトに入り、軽口をたたき合う仲になった。
選手村(晴海)は二ヶ月にわたり千人規模の人が従事するFA。
九割方の選手村仲間とは「一期一会」だったが、互いに40回も足を運べば、出会う確率も高まる。
大月さんは、連絡先を交換した唯一の選手村仲間となった。

初めて会った時のことを、酒の席で大月さんに聞いてみた。
文句を言っている時、どんな気持ちだったのかと。
「はじめにがつんと言わなきゃと思って言ったが、言っているうちに悪いなという気持ちになった」
わかっていて、聞く方も聞く方だが・・

東京2020ボランティアブログ目次

| |

« 原博実フットボール本部長就任から3勝1分1敗の大宮をトラスタで迎え討つ | トップページ | 課題をこなし、ツキもあり、誤審も受けず。半歩前進の日 »

スポーツボランティア」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 原博実フットボール本部長就任から3勝1分1敗の大宮をトラスタで迎え討つ | トップページ | 課題をこなし、ツキもあり、誤審も受けず。半歩前進の日 »