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2022年6月 5日 (日)

できるだけ動きたいです。どんどん指示して欲しいです

選手村活動10回め。
活動記念のピンバッチ(金)をいただく。
これで金銀銅が3つ揃った。

選手や他のField Castを真似て、バッチをアクレディテーションカード(アクレディ)のストラップに付ける。
金銀銅を3つ付けているということは、ここでは「既に10回以上入っている」ことを意味する。少し誇らしい。


「今日もいいですか?」
集合場所に佐野さんが迎えに来て、今日もA棟へ入りリーダー役をいただく。この日、研修する相手はお2人。

研修ではできるだけ謙虚な言葉を使い、熱意を押しつけることは控えている。
できることはなんでもしたい!
できるだけ仕事が欲しい!
僕はそう想っているが、誰もが自分と同じというわけではないだろう。

私は皆さんと同じ立場です。
指示を出すといったことはありません。
ムリせず、愉しんで行きましょう!

基本的なスタンスは、そんなところだ。
ところがこの日、出会った日立さんは、これまでに会ったFCとは違っていた。
研修が終わると、彼女がこう言った。

「できるだけ動きたいです。私はどんどん指示して欲しいです」

こんな熱い言葉をきいたのは、オリパラを通し40回入村したなかで、これが最初で、トータルでも2回だった。
聞けば、東京2020での活動をずいぶん前から愉しみにしていて、ここ数ヶ月は、世の中の「中止圧力」に気が気ではなかったという。

それは、僕も同じだ。
ただ、それを誰にも言うことができなかった。
誰もそれを言うことができなかった。
期せずして、自分ではない誰かから、その言葉を聞けて嬉しかったし、彼女に大いなる共感を覚えたのだった。


研修が終わり、持ち場に就いてから1時間が経った頃、レジセンにB国の職員Aさんがやってきた。
冷静ながらも毅然とした口調に、ただ事ではない雰囲気が漂う。
職員の佐野さんが英語で応対する。

その内容は「オフィスの窓ガラス(掃き出し窓)がとても汚いので、きれいにして欲しい」というリクエストだった。
清掃は定期的にスケジュールされており、いまできることは、次回の予定を伝えることだけ。だが、Aさんは納得しない。
「どうしよう、困ったな」
佐野さんが困っている。
その澱んだ空気を断ち切ったのは、様子を見守っていた日立さんのひと言だった。

「私、よければ行きます」

佐野さん「いいんですか。でも一人ってわけには・・」
間髪を入れず、僕も行きますと応じる。
日立さんがいう「よければ」は事務局として、そういうサービスをしてよいか?という許可を意味する。

清掃はField Cast業務ではない。もしも、清掃スタッフにスケジュール追加を依頼できたとしても、今すぐというわけにはいかない。

「余計なことはしないで」という人もいるだろうし、その理由に「くせになるから」というかも知れない。
だが、目の前に困っている人がいて、自分の時間が許し、できる範囲のことならばやりたい。
これが、ボランティアの本質であると想う。
勇気ある日立さんの言葉に、場の空気が一変した。


「ここが汚れています」
オフィスに入り、Aさんが指さした場所には、曇ったような汚れがあったが、掃き出し窓全体が汚れているわけではなかった。

透明の窓ガラスをはさみ、一人がベランダ、一人が室内からタオルで、その1点を拭く。
2人で1枚のガラス越しに向き合うのは、見つめ合っているようで妙な感じだった。
B国の職員たちはパソコンに向かって真剣に仕事をしている。
にらめっこみたいで、笑ってしまいそうになるのを必死にこらえた。


「次にまた一緒になった時は、私はいろいろ指示して欲しいです」
帰り際、日立さんが言ってくれた。
後日、1度だけ同じシフトに入る機会があった。
彼女は、こちらが指示を出すまでもなく精力的に動き回っていた。

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