ベンチに向かって「替えてくれ」と泣きを入れていたカイオはもう居ない。
町田に乗り込む朝、僕は強い覚悟を感じていた。
試合前だから使いたくない言葉だが、置き換えるならばそれは、危機感とも言える。
直近8試合で負けていないのはV長崎だけであり、監督交代という激震があったなか、この成績は悪くない。いや、むしろいい。
それは、カリーレ監督の手腕、選手の意欲、ファミリーの祈りが三位一体となって、流れを引き寄せているのだと想う。
ただ、その良い流れをもってしても、崩れない上位陣に迫れていない。ここから始まるトップシックスとの3連戦。今季、自動昇格圏に入るための一次試験と言えるだろう。
特に町田でのアウェイ戦の結果は、大きな意味を持つ。
いつも心がけている通り、目の前の一分に集中しよう。
町田は関東アウェイ戦7試合の中でも、特に交通経路が複雑な場所。
"都心から行く場合、他のスタジアムには乗換1~2回で行ける。(駅からのバスを除く)最も距離が遠い水戸の場合0回だ。
町田は移動距離は短いのだが、神奈川寄り、羽田空港からといった場合、かなりの乗換を要する。"
鶴川駅の北口を出ると、町田のボランティアさんがバス乗り場を案内してくれる。スポーツボランティアの中では、ここはあまり陽の当たらない役割。とても、ありがたい。
関東アウェイ戦の経験でいうと、宇都宮駅(栃木SC)で同様の案内を見かけた。
2020年、2021年はコロナ禍によりビジター席がなかったため、訪れるのは3年ぶり。
まだ富樫敬真が町田に居て、前半を2-0で折り返しながら追いつかれた試合以来だ。
当時は自由席だったが、今回はビジターサポーターズシート(指定席)
価格変動制が採用されており、発売初日は1,900円、試合当日は2,100円で売られていた。
指定席での販売には長所と短所がある。
長所は、ゆっくりと会場入りできること。
自由席の場合、好みの座席をゲットしたければ、できるだけ早く、開場の時間(たいていキックオフ2時間前)までには現着しなければならない。
短所は周囲の空気をみて席を選べないこと。
自分にとって居心地の良さそうな場所を選ぶことができないし、
隣にいやな奴が座っていると、あまりいい気分ではない。
町田のスタジアム周りは、スタグル、イベントスペースが1カ所に集中していて、いつ来てもとても賑わいがある。
町田サポーターは、試合前をここで過ごすのを観戦の一部に組み入れているようにみえる。
ビジター側スタンドは既に日陰に入っている。
14時からの試合ならば、前半まではかなり後ろ頭が熱い。
暑いには違いないが、甲府の時ほどではない。
2022年7月17日(日)18:00
J2リーグ【26節】
FC町田ゼルビア-V・ファーレン長崎
町田GIONスタジアム(Gスタ)
<スタメン>
GK 富澤雅也
DF 米田隼也 村松航太 江川湧清 加藤聖
MF 鍬先祐弥 カイオセザール クリスティアーノ 加藤大 澤田崇
FW エジガル・ジュニオ
<ベンチ>
GK 原田岳
DF 奥井諒 櫛引一紀
MF 大竹洋平
FW 奥田晃也 山崎亮平 植中朝日
ミッドウィークの天皇杯で途中交代していた江川湧清が復帰。ようやく本職CBがベンチに2枚(江川・櫛引)揃った。
<前半>
0分
【町田】いきなり長いボールからクロス シュートは打たれなかったが、町田の圧力に脅威を感じる
1分
【V長崎】カイオセザールの奪取から澤田崇がシュートまでいく
わずか1分で互いに好機を作る。これから90分つづく緊迫戦を象徴していた。
町田はサイドチェンジ、裏へのロングボールを多用。カリーレ方針どおり地面転がしにこだわる長崎を見透かしたように、前からの守備を徹底している。
9分
【V長崎】最初のCK 左から加藤聖 エジガルがヘッド ピンボールのようにクロスバーと地面を往復したボールを町田の選手が蹴り出す。惜しい!と思ったら「ぴぴーっ」と長い笛
はいったの??
町田の選手が抗議を続け、僕らは固唾を呑んで見守る
スコアボードに「1」が入ってもまだ半信半疑。試合が再開されてようやく、僕らは歓喜と安堵の拍手を送る
町田はパスが速く正確、受ける方はピタリと止める。つなぐ、サイドチェンジといった判断も速い。
一方、今日の長崎、言われなくてもDFラインが高くコンパクト。ゴール裏から見ると横が圧縮されるので、DFラインからすぐ先にFWラインが見えている。
作りかけのチームの弱みをしっかり突いてくる町田に対して、V長崎は音を上げず規律正しく戦っている。正しい道に向かって
26分
少しおそめの飲水タイム
飲水してくださいと場内アナウンスが入り、僕らも水を口にする
町田も暑いのだが、2週間前の甲府に比べれば、凌ぎやすい。
どれくらい違うかというと、首にヴィヴィくんクールタオルは必要だが、おでこの冷えピタはなくてもいいという違いだ。
45分
カイオセザールが平川と交錯して倒れるが、町田はプレーを止めない。カイオは仕方なく立ち上がり必死にプレー参加。1分後ようやく澤田崇が蹴り出して止める
+3分
町田のスローインで再開。ところが町田はボールを返さず攻撃続行。僕らにイヤな予感が漂うが、何事もなく前半を終える
<ハーフタイム>
あれは返して欲しかったですね
前半の終わり掛け、カイオが傷んだ際、町田がボールを返さなかったことについて、僕は仲間に話す。
腹が立っているのではない。ただ、残念だった。
「(返すのは)ルールではなく、フェアプレー精神ですからね」と僕の友だち
カイオセザールは交代せず後半も出場する
川崎から期限付きで来ていた頃、ベンチに向かって「替えてくれ」と泣きを入れていたカイオはもう居ない。
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