定着した期日前投票と夏の風物詩
「ここに日付を書いてください」
僕が投票用紙を渡すと、ほどよく削られた鉛筆を一本渡された。この鉛筆はすべての投票を終えるまで「マイ鉛筆」となる。
促された通り、裏面の期日前投票記入欄に日付を書き込む。
それ以外の項目は既に投票用紙が郵便で届いた時に書き込んであった。
期日前投票制度は投票日より前でも、本番の選挙とほぼ同じ手順で投票できる制度として2004年7月の参院選より導入された。
その際、期日前投票者は716万9778人。導入前の前回改選時(当時は不在者投票のみ)を140万人上回った。
当初は「きじつぜん」「きじつまえ」と読み方が揺れていたが、今回の選挙ではどこの放送局も「きじつまえ」で統一している様子。
総務省は「読み方はどちらでもよい」という見解を示している。
投票用紙の裏面には当初も今も(期日前投票する理由として)該当する事由を問う欄があり、仕事、レジャー、病気などから1つ○で囲むようになっている。
「投票日は投票所が混雑するから」が本当の理由だったとしても、該当する欄はない。生真面目な人はいつも、この選択で心をいためているだろう。
2022年4月からの日課となった「掘潤モーニングFLAG」ではZ世代のコメンテーターが「今回(期日前投票は)手ぶらでも行ける。免許証なども要らない」と語っていた。
テレビで言うのだから、それは本当なのだろうが、驚いた。
今回の参院選では、鉄道の駅や大学などでも期日前投票所が開設されるという。投票率を上げるため「できることは、なんでもやる」という姿勢は好ましい。
僕は投票用紙を忘れるほど不注意ではないし、わざと忘れて、どんな本人確認をするのかをレポートする趣味もないので、それは、他の誰かに任せることにした。
この制度が始まって以来、投票機会に便宜は図るものの、本来の投票機会(投票日)に臨まない理由は聞かせてもらうというニュアンスを感じてきた。
だが、今回の報道を見聞きする限り、そういう「これ本当はダメだからね」のニュアンスが消えていると想う。
それは、とてもよいことだ。
次回からは事由の選択肢に「投票所の密集を避けるため」を入れてもらいたい。
ちなみに「参院選 投票所混雑状況 自治体名」で「Google先生」に尋ねてみたが「今の時間は混雑しています」といった情報はみつからなかった。
NHKの報道によると、一部の自治体が(過去実績を元に)混雑時間帯を公表し、分散投票を呼びかけていたようだ。
NHKの報道によると、第26回参院選の期日前投票者はおよそ1612万人。
2007年の導入初回と比べて2.2倍に増えた。
2022年7月10日に投開票された第26回参議院選挙は、選挙権が18歳に引き下げられて3度めの参院選。
初めてのこととして、コロナなどの感染者が郵便で投票できる「特例郵便等投票」が始まった。
改選数:124
(これに加えて神奈川選挙区欠員1の選挙もあわせて行われる)
選挙後参議院定数:248
前回同様、選挙区 74(1増)比例50(2増)
投票終了の20時に放送局が、出口調査などを元に情勢予測を打ち出すのは現代の風物詩。
前回と今回「NHK 20:00」の情勢予測は以下の通り。
■2019年 第25回参院選時
自公で改選議席過半数「63」確実(67~77)
憲法改正に必要な議席「85」届く可能性も
自民改選65→「55~63」窺う情勢
■2022年 第26回参院選時
自公で改選議席過半数「63」確実(69~83)
改憲4党で(非改選とあわせて国会発議に必要な総議員の)3分の2(166議席)確実
自民改選55→「59~69」窺う情勢
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