国際親善 温泉卓球の試合結果
レクリエーションセンターのことを「非公式選手村用語集」にはこう記している。
リラクゼーションを提供する場所。
予約は不要。卓球、ダーツ、手裏剣、TVゲーム、フォトスポット、マッサージチェア、TVなどがある。同じフロアにカジュアルダイニングがある。
10:00
レクリエーションセンターオープン
五輪のまっただ中ということもあってか、朝からリラックスを求める選手はまばら。
施設内における僕らの立ち位置は特に決められていない。
早朝に従事したジムでは、ピンポイントの立ち位置と、一定時間でのローテーションが決められていたのと比べると対照的。
信頼に基づいて成り立つ自由な空間は素敵だ。
それは、その場の責任者によって醸成される。
人々が仕事を楽しめるか否かは、責任者にかかっている。
仲間たちは、思い思いに得意なゲームや機材の近くに位置を取っている。
僕は卓球台が見通せる通路に立ち
毎秒減っていく貴重な時間を惜しみながら
選手の誰かが卓球相手を探す瞬間を待った
何度も練習した口上を反復しながら
日本人は温泉で卓球をします
Japanese people play table tennis in hot springs.
おっと!もちろん浴槽の中じゃないですよ^^;)
Oops! Not in the bathtab,of course.
卓球台では時折、選手がプレーするのだが、いずれも2人連れであり、相手を探す素振りの選手はいない。
場内は徐々に混んできたが、なにもすることはないまま午前が終わり、じゃんけんで1、2番になったサトウさんと2人でお昼休憩にはいる。
Field Castの食堂はMFCの中にあるため、移動時間が短い。
初めて"開店"に並び、COSTAをとって、初日に食べて以来の「ピリ辛冷やしうどん」とバナナ1。
食べていると、A棟の青木さんが来て、となりに座り、速攻で食べてすぐに出て行った。人にはそれぞれ事情があるのだ。
午後からの主な仕事は、プレゼント配布に並ぶ行列の整理
列の最後尾に立ち、並びますか?ここが最後尾です。
Do you line up? This is end.
こうした、繰り返し使う台詞をしらべるのにも、ポケトークは威力を発揮した。
本日の業務終了まであと20分となった時、幸運は突然訪れた。
「卓球の相手してあげて」
誰かの声がした。すかさず、ベテランのField Cast西田さんが反応したが、僕は最終便を発車しようとしたバスの運転手を必死に呼び止めるように、彼を静止した。
「すいません!選手と卓球したかったんで、僕にさせてもらえませんか」
咄嗟のことなので書くと貧しい文章だが、切羽詰まった時の言葉はこんなものだ。
これまでに何度も選手と卓球をしている西田さんは、僕の必死さに引きながらも、すぐに譲ってくれた。
卓球台の前で、D国のジョージ(仮名)が待っていた
互いに自己紹介などはしない
僕は舞い上がっていたのだろう
「日本人は温泉で・・」の口上もすっかり忘れていた
少し乱打をすると、ジョージが「試合をしよう。サーブは君からで」と提案
僕はいきなり秘技温泉サーブを繰り出す
見事にネットを超えて決まったのだが、ジョージに難なくレシーブされてしまった
「Japanese serve? ^^」
ジョージが笑ってくれたのが救いだ
左利きの僕がクロスに打つと、右利きのジョージのバックを攻めることになる
国際親善の観点から、それはまずい
手首を返さず、相手のフォアにイージーボールを打つことを念頭に置く
それでも、僕が2ポイント先取
3-1とリードしてからは、相手のフォアだけに返すよう努める
そのうちに、ジョージも左利きに慣れて盛り返し、終盤はジョージがリード
そこで、ちょっとバックにも打った
試合結果は 9-11
絵に描いたようなおもてなし敗戦だ
僕は敗けが悔しいという表情をつくる
ジョージは笑ってグータッチ「サンキュウ」と言って、帰って行った
選手村生活で起きた幸せな出来事は数あるが、思い出ランキングで「温泉卓球」は第三位にランクされている。
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