宗像上空で一周り 専門用語のない丁寧な説明 ANAのナイスフライト
「上空の天候、目的地の天候も晴れ」
ANA241便が順調に飛行していることを機長が伝える
(玉森裕太の声で)
飛行機を操縦している機長みずから、客席に語りかけてくれる、このアナウンスが好きだ。
そんなことして大丈夫なのか?いや、自動運転だからいいのだ
航空機におけるパイロットとCAは、鉄道でいえば運転手と車掌のようなもの。
新幹線に乗っていて「運転手の佐藤です。目的地までの天候は概ね晴れ。定刻での運行を予定しています」なんて、アナウンスが入るのは聞いたことがない。
しかし、飛行機では機長自ら、僕らに語りかけてくれる。
とても、心を揺さぶられたアナウンスがある。
2011年4月、小松ー羽田便でのことだ。
東日本大震災で「佐倉朝日健康マラソン」が中止になり、代替レースとして急遽駆け込んだ「全国健勝マラソン加賀温泉郷大会」からの戻り旅だった。
「本日は久しぶりにたくさんのご予約をいただきました。ありがとうございます」
日本中が自粛ムードで観光地には閑古鳥が鳴いていたのだ。
機長の嬉しそうな顔が目に浮かんだ。
⇒帰りの飛行機が満席の理由
上空で高度が安定した頃、機内サービスが始まった
そこは、気になっていたところだ。
そこは、元通りなんだ!
思わず口元が緩む。飛行機といえば、これこれ
新幹線に乗ればカチコチアイス、飛行機はホットコーヒーと相場は決まっている
いつもならば「お飲み物をご用意しましょうか?」と、CAさんが問いかけてくれて「えっと、コーヒーありますか」と返すところだが、今日は様子が異なる。
CAがA4サイズほどのボードをかざした
①ホットコーヒー ②アップルジュース ・・
そこには、用意している飲み物のメニュー(写真付き)
僕らは言葉を発しなくとも「1」と指を立てるだけで意思表示できる
これはいい!合理的だ。
これまで、なんで、こうじゃなかったんだろう?
コロナがもたらした良きカイゼンだ。
口うるさい人は、機内サービスについて「マスクを外す機会を与えるな」と言うかも知れないが、ここには、コロナ禍を共に生きてきた者同士の信頼関係があった。
「飲んだ後はすぐマスクをしてください」
といった、過保護なアナウンスもなく、大人の空気が醸成されている。
ちなみに復路のSKYMARKでも機内サービスは行われていたが、オーダーは口頭によるものだった。
広島を過ぎたあたりから、座席ごとに設えられてたモニターを凝視している。
GPSと地図ソフトの登場により、現在地を地図に投影できるようになった。
飛行機や電車のように運転が他の誰かに委ねられている場合、自分が今どこに居るのかは不要な情報だ。
寝ていても目的地に着く。
だが、高速に移動し、航路が一定していない航空機の場合、現在地が瞬時に動くのを目で見ることができるのは愉快だ。
僕らを乗せた飛行機は、玄界灘上空を飛び志賀島の辺りから左旋回して板付へ進入
かと思ったら、宗像上空で一回転
恐らく、滑走路が混んでいて、管制塔から上空待機の指示が出たのだろう
TVドラマ「ナイスフライト」で観たばかりだ
モニターがあるゆえの楽しさ。これまで以上にフライトに関心をもつことができた
モニターを見ていない人は、上空で一回転したことには気づかないだろう。
「イヤホンはご自由にお持ち帰りください。SDGsの観点から再利用が可能です。次回搭乗でもご利用ください」
搭乗時に配られたイヤホンは、持ち帰ることにした。
「先に到着していた便が鳥と衝突し滑走路が一時閉鎖されていたため、皆様の到着が遅れましたことをお詫びします」
詳細な理由を、バードストライクといった専門用語を使わず、丁寧に説明する姿勢に好感が持てる。ANAいいじゃないか!
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