DS-25BⅡを迎え、5年でたどり着いた理想のオーディオセット
大学に入る時にいくつかの目標があった。
懸命に勉強して"いい会社"に入るという本文は別格として、生活を楽しむための目標が2つ。
1つは行きつけの喫茶店をつくることで、もう1つがオーディオセットの完成だ。
高校在学時、オーディオ山内で店主が少しまけてくれたTechnicsのダイレクトドライブ・レコードプレーヤー「SL-2000」
大学入学祝いとして佐世保の叔父さんが譲ってくれたTEACのカセットデッキ「A630」
■オーディオの基本形(1980年時点)
入力
・レコードプレーヤー
・カセットデッキ
・チューナー(FM/AMラジオ)
↓↓
アンプ
↓↓
出力
・スピーカー
プレーヤー、カセットデッキだけでは音が鳴らないので、大学に入るとすぐ、TRIOのアンプ「KA-8100」を買った。63,000円(1978年発売)
大学に入ったら買おうと決めていた当時の人気モデル。中央にでーんと大きく丸いボリュームが配置されている威圧感に惚れた。
しかし、財源はそこまで。スピーカーを買うことはできなかった。
百道荘に居た1年間は「KA-8100」にSONY のトランジスターラジオをつないで鳴らした。
実家から持ってきたこのラジオ。1960年代に発売されたなかなかの名機だったようだが、当時そうとは知らず、いつどこで処分したのか記憶がない。
大学2年生で曙荘に移った頃には、アルバイト代も増えてきた。
部屋は4.5畳から6畳となった。短辺の窓辺にスピーカーを置き、二等辺三角形の頂点となる音場の中心に自分が座ることができる環境だ。
清原さんからもらった「もてるテーブル」や食器棚などのレイアウトは、いずれやってくるスピーカーの場所を基準に決めた。
財力がある大人になってからの夢は、あっという間に叶ってしまう
お金がない子供の夢は、研究と空想で大きく膨らむ
オーディオ・ファンになってから5年。いよいよ、僕のコンポ完成の時が近い。
スピーカー購入が現実の目的に入った僕は、時間があるとベスト電器西新店の二階、オーディオコーナーに顔を出した。佐世保でも西新でも、オーディオといえばいつも、ベスト電器が僕の相棒だ。
各社の人気商品が居並ぶスピーカーコーナー。僕はそれをひと通り視界に捉えているが、実は見ていない。そして、足を止めるのは夢の1台の前。
DIATONE DS-25B 1台28,000円 1976年発売
1981年当時は改良品 DS-25BⅡが出回っていた。
2台で5.6万円、ほぼ値崩れなし。僕の予算では無理だった。
真四角縦長エンクロージャー。下に大口径ウーファー、斜め上にツイーター、その右にコントロールスイッチ。これが、スピーカーの黄金率。
それを満たす抜群のルックスを持つ DS-25B は夢の存在。
夢の1台を眼の前に、いつもならば、あぁやっぱりいいなと切なくなるだけだが、この日、その値札に目を疑った。
「現品処分 3万円」
1組の DS-25BⅡに特価の値札がついていた。僕はびっくらこいて、店員さんを呼んだ。
その展示品は左右共に「ツイーター」が心ない客によりつぶされて凹んでいたのだ。
■ツイーター tweeter
高音用スピーカー
その名は小鳥のさえずり(tweet)にちなんでいる
オーディオ機器売り場で、ツイーターのコーンを押しつぶす人がいる。
店舗に監視カメラが導入されてから見かけなくなったが、かつては、必ずと言っていいほど、売り場には無惨にツイーターが凹んだスピーカーがあった。
オーディオを愛する人ならば、そんなことはしない
日が暮れたら口笛を吹かないとか、夜は爪を切らないといった禁忌を破ることはあっても、それだけはしない。
恐らく、心無い人の出来心、いたずらなのだろう
美しく銀色に輝く丸いツイーターは見ていて飽きない
当然だが、我が家に迎えるスピーカーもそうありたい
目の前には、見た目を我慢すれば手に入る DS-25BⅡ
夢を夢のままで終わらせるのではなく、理想の品で僕のオーディオが完成する
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