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2022年12月28日 (水)

西新喫茶店MAP 西新商店街ローラー作戦で見つけたロッキングチェア

ちょびっとをスピンオフした4人でつくる誌名は、僕が提案した「Seinan Press」にすんなり決まった。
僕らはちょびっとを抜けるつもりは毛頭ない。ひと夏の造反を終えたら、秋には何事もなかったように部内に戻る。
だから、このプロジェクト(非定常業務)は部内には内緒。
それゆえ、いくつかの制約があった。

「50円すらとれないモノをつくってどうする」
そう思っていたのは、ちょびっとでの話。ネームバリューがない"新刊"で有償は難しい。

まずはコストの値ごろ感を知るために、ちょびっとを製本してもらっている印刷屋さんに赴く。
ちょびっとと同じ装丁を想定しているので、ここだけは仁義に反するが仕方ない。

こちらの台所事情を話すと「2000部ならば4万円でいいよ」と言ってもらった。
4万円ならば頑張って広告をとればなんとかなる金額。
そこで無料配布、発行は2000部と決めた。


僕ら4人に自腹を切る余裕はない。
それぞれのノルマを決めて、手分けして広告営業する。

広告単価の設定はちょびっとと同じにした。
裏表紙:1万円
1/2ページ:5千円
1/3ページ:3千円

部内に仁義を通すため「ちょびっとの得意先には手を付けない」と決めた。
僕らが作っていることがばれるし、そもそも同義にもとる。

新規の開拓を始めると「3000円くらいならいいよ」と小さい枠は埋まっていったが、裏表紙の1万円枠については「それは、ちょっとね」という反応だった。

トップ記事は、見開きで「西新喫茶店MAP」
そろそろ本腰を入れて"行きつけの喫茶店を探したい"と想っていた僕が提案した。
町を歩き「ここを、行きつけにしたいか?」という視点で喫茶店を周り、掲載許可をとっていく。
「さわむら」に掲載許可をとりに行くと、ママが「広告はよかとね?」と言ってくれた。喉から手が出るほど嬉しかったが辞退した。

バイクを停めて、西新商店街ローラー作戦をつづけていたある日。
「レストランむらた」の先の路地にUCCの看板がみえた。
あれ?あんなとこに喫茶店あったっけ?
それがロッキングチェアだった。

「いらっしゃいませっす」
りんりんとベルが鳴るドアを引くと、マスターの歯切れのいい挨拶が返ってきた。
そのヨコで可愛らしい妹さんがにっこり。

いつもは「ちょびっと」というミニコミ誌を作っているが、今回は訳あって「Seinan Press」という別紙をつくっていること。喫茶店マップをトップ記事に載せることを説明した。
あわよくば、広告がもらえるかも・・
「記事広告」という言葉を知るのは、ずいぶん後のこと。
あざとい計算で最後に「もし、よかったら広告を」と切り出した。

「ちょうどよかたい。宣伝してもらわんね」
ロッキングチェアが並ぶカウンター席の一番奥に座っていた女性がマスターに進言してくれた。マスターのお母さんだと後で聞いた。
「一番大きかとね。いくら?1万円?あぁそれでよかよ」
初訪問のお店で懸案だった裏表紙の広告をもらうことができ、躍り出しそうになったがこらえた。

さわやかなマスター、くつろげる雰囲気
「750ライダー」ピットインのマスターとは感じは違うけれど、ここがずっと探していた理想の場所だと直感した。

翌日からロッキングチェア通いが始まった。
店の壁には、憧れのコーヒーチケットホルダーが並んでいた。
11枚つづり3,000円(ストレートコーヒーは3,500円)
10杯飲めば1杯というお得感よりも「常連の証」というステータスが、心を満たしてくれた。
チケットを入れるとマスターがホルダーに名前を書いてくれる。
チケットホルダー右上隅っことカウンター1番奥の席は、ロッキングチェアが閉店する日まで僕の指定席になった。

コロナ禍で三年ぶりのさとがえり(目次)

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