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2022年12月29日 (木)

ロッキングチェアがコーヒーと大人の優しさを教えてくれた

マスターは春日市の自宅から藤崎まで毎日原付バイクで通っていた。
数カ月後、バイクをCB50S→RZ350に乗り換えた僕は、マスターをバイク沼に引きずり込み「行きつけの喫茶店でマスターとバイクの話をする」という環境を手に入れた。

ロッキングチェアの店内は厨房沿いのカウンターにロッキングチェアが並び、その後ろに4人掛けのテーブル席が2つというレイアウト。
カウンターにロッキングチェアが並ぶ喫茶店を他に知らない。
一般的に喫茶店を訪れたお客さんは、テーブル席を選び勝ちだが、ロッキングチェアでは誰もがカウンターに座った。
常連さんはマスターと話にきていたのだ。
マスターがかまってくれない^^)時は、ロッキングチェアに揺られてコーヒーを飲み、雑誌を読む。
常連さんが帰り際「じゃ行くね」と挨拶するのも、この店の特徴。
それをマスターが「いってらっしゃい」と見送る。数十年後に流行るメイドカフェの要素を先取りしていたとも言える。


憧れの喫茶店を手に入れた僕は、この店でコーヒーを学んでいく。
当時、多くの人がコーヒーには砂糖を入れて飲んでいた。僕もその一人だったが「通はブラックばい」と想っていて、少しずつ砂糖を入れる量を減らしていきブラックにした。

それを美味しいと感じるようになると、今度はチケットをブレンドからストレートコーヒー(11枚3500円)に切り替える。
「今日はブラジルで」と、お店にある銘柄をリクエストする。
一通りのむと、目隠しで味を覚える。
僕が目をつぶっている間にマスターが豆を取り出して淹れてくれる。
三口ほど飲んだところで「キリマン?」と銘柄を言い、マスターが答えを教えてくれる。
ひと月ほどすると、たいてい当たるようになった。
特にブラジルの味はブレンドに含まれていても、わかるようになった。
ただ、それがなにかの役に立ったということはない。
人前で披露できるレベルではなかったので、誰にも言わなかったから「黒歴史」を作らずに済んだ。我ながら賢明だったと思う。

当初のメニューは珈琲中心だったが、常連さんから「食事もしたい」と要望があって、カレーが加わり人気メニューとなった。
僕がお金がなくてコーヒー1杯で粘っていると、常連さんがよく「マスター、モトくんにカレーばやって」と奢ってくれた。
ロッキングチェアは1988年に閉店。その後、マスターは福岡県春日市で「AVENUE アベニュー」を開いており、カレーは今もメニューに載っている。
この旅の最終日にはAVENUEを訪れる予定だ。


僕ら4人のミニコミ誌「Seinan Press」の広告収入は予算に5,000円届かなかった。
それを印刷屋さんに話すと「その分、手伝ってくれれば、まけとくよ」と言ってくれた。
製本当日、4人で裁断・糊付けといった作業を手伝い、僕らのミニコミ誌ができた
今思えば、なんと素敵な印刷屋さんだったのだろう

こうして、大人が学生を暖かく見守ることを学んだから、今、学生の皆さんにそれを返したいと思っている。誰かにカレーをおごることはできないが、なにか参考になるお話ができればと想う。


夏休みが終わると9月上旬から前期試験が始まる。
その日、Seinan Pressの発刊日を迎えた。
チャペル前での手配りは、正体がばれるのでできないから、生協に頼んでカウンターに置いてもらった。印刷した2,000部は数日後にはなくなっていた。

配布初日、何食わぬ顔で学食のちょびっと仲間の席に座る。
「モト、これば見たや?」
大変なことが起きたという風情で、ヤマダ先輩からチェックが入る
彼の手にはSeinan Press。僕らが天塩にかけた一冊。

僕は感情を押し殺し、意思力を消耗しながら、さも関心がない振りをする
あー、なんか"ウチの"と似てますね
"ウチの"はちょびっとのことで、僕は今もこちらの側に居るという猿芝居だ(ごめんな、猿のみなさん)
どれどれと受け取り、パラパラとめくって、ふーんとうなって、彼に返した。

その場はそれで済んだが、ヤマダ先輩はすべてを把握していた。
印刷屋さんに問い合わせて、Seinan Pressを持ち込んだ者の名を聞き出していたのだ。
印刷屋さんにそこは、黙っていて欲しかったが・・そんな無理は言えない。
僕らが造反者であることは部員に知れ渡っていたようだが、誰もそのことに僕らの前では触れなかった。
それが優しさだったのか、呆れられていたのか、面倒を避けたかったのか・・
音信不通となった今となってはわからない。

生涯で一冊、自分たちの手で作り上げた(製本までした)ミニコミ誌
それが手元に一冊も残っていない。
(ちょびっとは保管している)
いつか、枕棚の荷物からひょっこり出てくることを願っている。

コロナ禍で三年ぶりのさとがえり(目次)

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