一方通行を逆走する自転車の一時停止義務が道交法から欠け落ちている
2022年10月より、警視庁(東京都)が、自転車の赤切符交付(取締)を強化した。
「走る凶器」自転車の道路交通について、大きな前進である。
しかし、自転車について、道路交通法には欠陥が残っている。
それは、自転車利用者の利便に配慮した、お目溢しと言ってもいいだろう。
自転車は軽車両であり、自動車と同様に一方通行の逆走は禁止である。
ところが、一部の一方通行路には例外がある。
一方通行や進入禁止標識の下に「自転車を除く」が付いているケースだ。
【図2】
あなた(赤いクルマ)は対面通行の道路を走っていて(青矢印方向に)交差点を直進しようとしている。
交差する道路は右から左への一方通行
ここに左からは自転車が同時に(橙矢印方向に)交差点に入ろうとしている。
見通しが悪い交差点のため、双方に「一時停止」義務があり「止まれ」の標識が立っている。
しかし、一方通行を逆行してくる自転車の側には、図2の▼の位置に「止まれ」の標識はない。
これは「自転車を除く」の有無を問わない。どこにもないのである。
この場合、道交法に基づいて、双方がとる行動は曖昧だ。
[あなた]一時停止 自転車の動向を確認して、進入を判断
[自転車]一時停止 左方優先のため、交差点に進入?
※左方優先は、自転車にも適用される
一方通行を逆走する自転車に左方優先が適用されるとは理解し難い。
「自転車を除く」の例外がない道路では、自転車側の一方通行逆行の交通違反である。
さて実態だが、大抵の場合こうなる
[あなた]一時停止 リスク回避のために、自転車を先に行かせる
(このケースで一時停止した自転車に遭遇したことがない)
[自転車]一時停止しないで交差点に進入。そして、高い確率で「危ないだろ」と自動車側を一瞥する
2022年10月より、警視庁が「赤切符」取締を強化した以降、一時停止しないで交差点に入った自転車の運転者が「すみません」的に一礼するという変化はあった。
きっと、遵法意識がある人なのだろう。
一方通行を逆走する自転車の一時停止義務が道交法から欠け落ちている。
遵法意識がない自転車が、見通しの悪い交差点に猛スピードで突っ込んでくる。
後部座席にお子さんを乗せていたら、目も当てられない。
電動自転車の普及により、自転車の速度が上がっていることは、被害を大きくする要因になり得る。
ただ、一時停止したくないのは"電動ではない"自転車の方だろう。
「オール自力」で漕ぐ自転車は、一時停止して動力を失うと、大きなエネルギーを要する。
自転車には「楽をして短時間で移動したい」人が乗っているわけだから、一時停止したくない気持ちはわかる。
「止まれ」の標識がないのに「止まる」と考えるほうが不自然だ。
一方通行が通勤・通学の主要道路になっている場合「自転車を除く」例外を認めるのは仕方ない。
「自転車を除く」例外ありの一方通行路では、逆方向走行の自転車に一時停止を促す基準づくりを求めたい。
(おわり)
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