自転車運転者の意識が変わった 変えたのは「赤切符」取締
あなた(赤いクルマ)は対面通行の道路を走っていて(矢印方向に)交差点を直進しようとしている。
交差する道路は右から左への一方通行
右からは別の普通車(緑のクルマ)が、同時に交差点に入ろうとしている。
見通しが悪い交差点のため、双方に「一時停止」義務があり「止まれ」の標識が立っている。
【図1】
この場合、道交法に基づいて、双方がとる行動はこうなる
[あなた]一時停止 緑のクルマが停止しているのを確認して、交差点に進入
[緑のクルマ]一時停止 左方優先のため、赤いクルマを先に行かせる
ところが、右から来るのが自転車だった場合、様相は異なる
原則はこうだ
[あなた]一時停止 自転車が停止しているのを確認して、交差点に進入
[自転車]一時停止 左方優先のため、赤いクルマを先に行かせる
※左方優先は、自転車にも適用される
だが、実態は必ずしもそうではない。大抵の場合、こうなる
[あなた]一時停止 自転車が停止しない場合、自転車を先に行かせる
[自転車]一時停止しないで交差点に進入
ここでは、自転車運転者の法令遵守意識により、結果が異なる。
クルマに気づいて一時停止する人もいれば、停まらないどころか睨みつける人もいる。
風向きが変わったと感じたのは、2022年11月からだ。
2022年9月、警視庁(東京都)が自転車の取締強化を指示。
もともとルール違反だったが警告で済ませてきた4つの違反で赤切符を切る方針を打ち出した。
1,一時停止「止まれ」の標識で止まらない
2,信号無視
3,徐行せず歩道通行
4,右側通行
ここで、自転車と道交法についての歴史を整理しておこう。
■自転車と道交法の歴史
2008年6月
道交法改正 自転車が歩道を走ってよいケースを明記
・13歳未満 70歳以上の人
・歩道に自転車通行可[歩行者優先]の標識がある
2013年6月1日
道交法改正 第119条 道路右側の路側帯を走った場合通行区分違反。3月以下の懲役または5万円以下の罰金
2015年6月1日
道交法改正 「自転車運転者講習制度」始まる
危険行為(14項目)を3年以内に2回以上違反すると講習を命じられる
2020年6月30日
道交法改正 危険行為(従来14項目)に「妨害運転(あおり運転)」が加わる
2022年1月
悪質な違反は刑事事件として処理するよう警察庁が全国警察に指示
2022年9月
警視庁が「赤切符運用」の取締要領を警察署に通達
2022年10月に、東京都で「自転車に赤切符」が始まって一ヶ月、都内の生活道路に自転車の通行場所を促すペイントが追加された。
これ以降、明らかに【図1】のケースで一時停止する自転車が増えた。
一時停止せずに進入してしまった時「すみません」のお辞儀をする運転者も増えた。
「走る凶器」自転車の道路交通について、大きな前進である。
しかし、まだ道路交通法では目溢ししている致命的欠陥が残っている。
(つづく)
→自転車
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