ついに、どこでもドアが発売された!
どこでもドアが発売された
どこでもドアが発売されることは、2年前に、首都TVの経済番組WBCで知った。
それ以来、Googleアラートに「どこでもドア 発売」を登録しておき、予約開始ともに申し込んだ。
ずいぶん、値の張る品だが、WBCで観てすぐ発売元の株を買っておいたので、その売却益でおつりが来た。
購入契約後、三ヶ月にわたる研修期間を終え、筆記と実技の検定試験に合格すると、利用免許証がインストールされた、どこでもドアタブレットが納品された。
「今日の晩ご飯なに?」
突然、僕が居間に現れると、実家の姉が腰を抜かした。
「え、どうしたん?いつからおったと?」
1,500km離れた場所に住んでいる僕が、玄関のピンポンも鳴らさず、いきなり現れたので、まるで幽霊に出くわしたかのように、目を丸くしていた。
これは、まずかった。
そもそも、利用規約に抵触している。
唐突に予期せぬ人が現れるのは、あまりに非現実過ぎて、相手を驚かすどころか、恐怖心を抱かせてしまう。
場合によっては、生命の危険など、不測の事態も起きかねない。
反省した僕はその足でNEW YORKのセントラル・パーク・ウエストにある安ホテルに仮の宿をとった。
「どこでもドア」で移動しても、移動先の言語が話せる訳ではないので、そこは、東京2020のボランティア用に買った「POCKETALK S ドラえもんEdition」が役に立った。
運動着に着替えると、イーストリバーのうねりを感じながらジョギングして、ブルックリン橋を背景に「太陽がまぶしいな」と言わんばかりの苦い顔をして自撮りした。
その写真を添えて、東京のサッカー仲間に「今から日本に帰るよ」とメールを送った。
バルセロナのカンプノウに立ち寄り、FCBOTIGA MEGASTOREで仲間へのお土産を買うと、その5分後に友達のアパートを訪ねた。
彼はあまり驚かなかった。
「さっきの写真は昔のもので、お土産はネットで買った」
そう僕が説明したからだ。
翌日、僕は広大な砂丘のてっぺんに立った。
その県には47都道府県で、唯一足を踏み入れたことがなかったからだ。
「どこでもドア」には致命的な難点がある。
出口のドアは、誰からも見えてしまうため、見つかると、他人が誤ってドアの中に入ってしまう。
操作タブレットを持たない人が中に入った場合に備えて、安全装置は装備されているが、その操作を誤ると、時空の歪みに巻き込まれて、元の場所に二度と戻れないこともある。
"本来、立ち入ってはいけない場所"に行くことを禁ずる意味も込めて、出口の設定については「異空間移動法(通称:どこでもドア利用法)」で厳しく制限されている。
交通機関の旅ならば、砂丘を訪れた後、水木しげる記念館に足を伸ばしただろうが、またいつでも来れるので、砂だらけのスニーカーで自宅の玄関に戻った。
靴についた砂を記念にとっておこうかと思ったが、やめておいた。
記念という概念が僕の中から、欠け落ちようとしていた
いずれ、思い出作りとか、景色をまぶたに焼き付けるという価値観もなくなるだろう
2023年、ChatGPTが普及し始めた頃、僕はAIに質問した。
「ドラえもんのどこでもドアが実用化される確率は何%?」
AIはこう応えた。
「確率は0%です。しかし、技術の進歩により将来的に可能性が出てくることもあり、完全に不可能とは言えません」
*法律の規制なしで誰でも買える「どこでもドア」はこちら(2020年発売)
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