仲間を信じて、コミュニケーションを取り合うことで化学反応が、奇跡が生まれる 「千葉遠征三日間」【最終話】
【Semi Final(ベスト4)】Game3
5月12日(金)
アルティーリ千葉 86-91 長崎ヴェルカ
千葉ポートアリーナ
千葉ポートアリーナでは、Quarterの終了と共にけたたましいブザーが鳴り、バックボードが赤く縁取られる。
その赤い四角で縁取られるボードが「もうバスケットは閉じられた。ゲームは終わりだ」と敗者に宣告しているようにみえる。
ここに来る度に、それは残酷な光景だと想っていた。
ただ、今日はその赤い枠を見ても、なんの感情も沸いてこない。
勝者側からのゆとりなのか、敗者をおもんばかっての無心なのか、それはわからなかった
ベンチ裏のVELCA軍団は、立ち上がって喜びを爆発させている
僕は座ったまま、それを眺めている
サトウさんは落胆しているだろう。そのヨコで我を忘れることはできない
そう考えていると、サトウさんの方から声をかけてくれた
「おめでとうございます。次も勝ってください」
この日、3度めの泣きそうになった
気の利いた返しは、その場にそぐわない
「来年、B1で待ってます」なんていうのは、上から目線の"最悪"のフォロウだと想っていた
ありがとうございます
できるだけ抽象的な言葉で手短に応えるのが、戦いを終えたばかりの僕らに相応しい
サトウさんが言った「次も勝って」の「次」が何を意味するのか、その時は分からなかった。
「来年はジェッツで待ってます」
そうか、次はその戦いになるのか。
「そ、それは、手強いですね」
僕は手振りを交えて、ユーモラスに率直な感想を返した。
千葉ポートアリーナには、少なくとも2023-24シーズンに訪れることはないと思っていた。
ジェッツのホームコートは船橋アリーナだが、ここ千葉ポートアリーナでも数試合を開催しており、VELCAファミリーが来シーズン、ここに戻って来ることもあるかも知れない。
しばらくすると、歓喜の狂乱は納まっていたが、僕は席を立ち、近くの仲間とグータッチを交わした。
興奮さめやらぬといった風情の仲間たちは、少し戸惑いながらも気軽に応じてくれる
そこに、志波さんがやってきた
3日間、共に考え、悲しみ、喜んだ仲間だ
ここは、グータッチじゃなくてハグだろう?という予感がした
日本において、人前で男同士がハグしてもよくなったのは、この10年くらいだと思う
(考えには個人差があります)
去年までの僕は、このまま「ハグ」というものを経験せず一生を終えるだろうと想っていたが、今年に入って潮目が変わったのか、これで2度めだ
「ここは、ハグかな」
という間もわかってきた \^^)オイオイ
「人はこんなに汗がかけるものか」
志波さんのシャツが汗でじとっとしている。彼が振り絞ったエナジーの証左だろう
席に戻り、サトウさんと将棋の感想戦のような言葉を交わす
「ライオンズ選手の怪我がなければ、どっちに転んだかわかりませんね」
僕が水を向けると、サトウさんが応える
「それを理由にしたくはありません」
それに続く言葉は、とても厳しい言葉だった。ただ、もし、僕が逆の立場だったら、そう言ったかも知れない。
相手を讃え、自らを省みる。
プロスポーツという勝敗を決するエンターテインメントに集う者の矜持として、彼が自らのチームに厳しい言葉を選んだのは、自然なことだった。
できれば、サトウさんとまた、この席で語り合いながら試合を観たい。
僕は率直にその考えを言葉にして、お別れした。
バスケットボール観戦ではお約束のスコアボード撮影も3日目。
連日、志波さんのカメラマンを務める。
昨日までとは打って変わって、そこはVELCAブースターの記念撮影会場と化していた。
「みんな、入って、入って」
志波さんが促すと、共に戦った仲間たちが映り込んだ
Game1を終えた時のことだ。
ベンチ裏で伊藤拓摩GMが単独取材を受け、写真撮影が始まった。
僕と志波さんはその延長線上で酔狂に映り込み、Vサインまでした。
カメラマンは何枚か撮ったところで、拓摩GMに向きを変えましょうと促し、違う角度で撮影を続けた。
カメラマンの方は、いい歳をしたお調子者と思ったかも知れない
でも、これがVELCAだ
VELCAブースターにとって「映り込みは文化」なのだ ^^)
(考えには個人差があります)
「千葉遠征三日間」
始まる前は、どんだけ苦しい3日間なのだと思っていたが、日常の課題、自省といった自分の現在地を忘れていられた。
勝ち負けで分断される場に身を置くことは苦しかった。
けれど、こうして、平和で自由な日常は戻ってくる。また、日常ってやつと仲良くやっていこう
最後に「千葉遠征三日間」で得た教訓【3】
仲間を信じて、コミュニケーションを取り合うことで化学反応が、奇跡が生まれる
サラリーマン当時、僕がやろうともしなかったことだ・・
自分で言っておいて、耳が痛い^^)
昔の僕ならば「何かを言っているようで何も言っていない」きれい事だと片付けただろう。
「昇格を賭けた三日間に立ち会う」という非日常で得られた体験により、僕はまた1つ大人になったのかも知れない。
■「千葉遠征三日間」記録
凡例:スコア 観衆
Game1 アルティーリ 91-104 VELCA 3368人
Game2 アルティーリ 93-61 VELCA 4092人
Game3 アルティーリ 86-91 VELCA 4147人
関東アウェイ組の「千葉遠征三日間」記録
おわり
読んでいただき、ありがとうございました。
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moto
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