勝てるんじゃないか? 負けたらどうしよう? 4,000人のブースターが共有したドキドキ感 「千葉遠征三日間」【7話】
5月14日(日)
いよいよ、決戦の夜が明けた。
ここまでの2日も決戦といえば決戦だったのだが、今日は最終戦。
まさにリアル決戦だ。
この3日間、スポーツ観戦のお供、佐野元春さんからいただいたリュックの底にしのばせた折りたたみ傘を広げたのは1度きり。千葉市は概ね過ごしやすい気候に恵まれている。
初日のアリーナは肌寒く、思わずウィンドブレーカーを着込んだが、Game2とGame3は長袖シャツ on ユニフォームで過ごすことができた。
それだけ、人々の熱量が上がったのか、千葉ポートアリーナが空調の温度を上げたのかはわからない。
少し意外だったが、思いのほか、気持ちはすっきりしていた。
今日で決着がつくこと、今日で「千葉遠征三日間」が終わることが、はっきりしている。
今日決まらなければ「また明日」といった、面倒くさいオプションはもう残っていない。
初日、2日めと頭の中がごちゃごちゃしていたが、Game3はそこですっきり白黒つくという点においてすっきりしている。
「勝った余韻で、これから先を過ごせれば最高だな・・」
ただ、そのために僕ができることは、全力応援しかない
そう結論づけると、一旦、試合のことは忘れて、2日間と同じ交通ルートをトレースすることに専念した。
この試合に臨んだ4,000人を超えるブースターのなかで「るんるん」と気楽に会場に足を運べた人はいないと想う。
(ブースターに誘われて来た方には居たかも知れない)
電車に乗って、会場に来ればもらえるお土産のように、望むものが誰にでも手に入るイベントではない。かと言って、全員がもらえないわけでもない。
「B1昇格」というお土産は、一方のブースターだけがもらえて、もう一方はそれを恨めしく見守るという、まさに勝ち負け「分断」のイベント。
「わたしは分断を許さない」の著作がある堀潤さんならば「許さん!」というかも知れない(言わないけど)
勝てるんじゃないか。負けたらどうしよう
圧倒的多数のアルティーリ・ブースターの皆さんにも、僕らヴェルカ・ブースターにも、その気持ちはある。
14:55
開場時間の35分前に千葉ポートアリーナに到着。
恐らくしばらく、ここに来ることはない(とこの時は想っていた)
いきつけのMINATO CAFEに上がると、今日も志波さんがいた。
確か1時間前からここに居るはずだが、テーブルには見慣れぬカレーが残っている。
提供されて、右から順に理路整然と食べ進め、今ここまで来ましたというカレーではない。
食事の際、菜を取ろうとして、箸をあれやこれやと種々のものに向けることを「惑い箸(または迷い箸)」(広辞苑第七版)というが、そこには「惑いさじ」とも呼べるような、あちこち迷いながらさじをつけたものの、一向に進まなかったという情景が見て取れた。
「喉を通らなくて」
「いや、もったいないことをした」
彼は今にもカレーに土下座しそうだ。
そんなに、追い込まれているのか・・
少し意外だったが、自分もこの2週間、朝昼食べていないから人のことは言えない。
この日のテーマは(会議か^^;)
「応援をいかに揃えるか」
昨日、コールのリズムが合わなかったことを、コートサイドにいる僕は、ベンチ裏の音が聞こえないせいだと考えていたが、ベンチ裏でもその状況が起きていたという。
Game1と比べて格段に煽りが増えたMC、ボルテージを上げたアルティーリ・ブースターの音量、それによって、アウェイ・サイドでも音がとれず合わなくなっていたのだ。
Game2では、志波さんがコール時に掲げる「Go Go VELCA」のボードを見て、合わせていたことを話す。
コールを合わせるための目印を決めて、それを拡散することにする。
ただ、それによって、状況が変わるとまでは思っていない。
「やるしかないぜ長崎、みせてやれゴール」
曖昧な気合いを抱いていた僕らは、その1時間後、あのような奇跡が起こるとは夢にも想わなかった。
Game2とGame3には、多数のメディアが訪れて、待機列に並ぶ前のブースターに話しを聞いていた。
そしてそれは、長崎から来た放送局、新聞社に偏っていた。
少なくとも僕は、千葉側のメディアがアルティーリ・ブースターに話しを聞いている光景を見かけなかった。
今日も圧倒的に若年層のスポーツボランティアスタッフに迎えられる。
すみません、すみませんと勝ち名乗りを受けた力士のように手刀を切り、ハリセンを配るスタッフの前を通り過ぎる。
「がんばりましょう」
場内に入ると、僕らは二手に分かれる。
志波さんはベンチ裏へ、僕はコートサイドへ
アウェイ寄りから2つめのブロック
昨日よりも中央寄りの席は、観戦には好適だが、応援という意味ではポジティブさはない。
せめて、隣りが長崎ヴェルカブースターならば、応援の勇気が沸く
「どうか、隣りはVELCAブースターでありますように」
その願いは、すぐに打ち砕かれた。
両どなり共にユニフォームには「ac」の文字。アルティーリ・ブースターだった。
アルティーリとVELCAは、ユニフォームが似ていると言われる
黒紺のアルティーリとVELCAネイビー。濃淡は異なるが、遠目には区別しづらい。
アルティーリは「ac」ロゴ、VELCAはラインが多いほうと見分けている。
今日もコール&クラップでは、あまりいい仕事ができないかも知れない。
それでも、この場所ならではのできることは無いかと、家を出る前に考えた。
そこで「GO VELCA」のハリセンにテグスを通して、首から提げられるように工夫した。
これならば両手が空くし、コートサイド1列めにVELCAブースターが陣取っていることが、視覚的に選手を押せるのではないかという目論見だ。
ただ、この目論見は意外なカタチで的を外すことになった。
文中の専門用語については→ど素人!バスケットボール観戦用語をご覧ください!
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