奥多摩参考記録【15話】聖地へ 奥多摩と仮面ライダー
いつの頃からか人々は、映画、ドラマ、劇画などの舞台・ロケ地を「聖地」と呼ぶようになった。
感銘を受けた物語、夢中になった映像の舞台。その地に立つことは、それぞれのファンを特別な気持ちにさせる。
「聖地」を旅することが人々を高揚させることは、宗教でもエンターテインメントでも変わらない。
「聖地」とは本来、宗教的伝承と結びついて聖化されている土地のことであり、エンターテインメントの舞台を聖地と呼ぶことに違和感をもつ人もいるだろうが、昨今、聖地という言葉は「号泣」「爆上げ」「暴落」といった言葉同様、変数を改ざんして濫用されており、ことばのステータスを下げている。
子どもの頃「仮面ライダーはよく見ていました」というだけのファンならば、ロケが何処で行われたかなんて、どうでもいいことだと思う。僕もその1人だった。
ただ、大人になって時間とお金にゆとりができて、かつて欲しかったグッズや資料を「大人買い」できるようになると、僕は再び「仮面ライダー」に戻って来た。
人は必ず飽きる
だが、嫌いにならなければ、いつか戻ってくる
これは、名古屋にいた頃お世話になった師であるM氏の言葉で、座右の銘リストに入っている。
「仮面ライダー」は消しゴムで消しても、うっすらと跡が残った落書きのように、僕の心の奥深くに横たわっていた。
そして、ある時、尾張旭の書店でみつけた「フィギュア王」No.8仮面ライダー特集の「今でも買える仮面ライダーグッズ」が僕の中の寝た子を起こしてしまった。
子どもの頃は一文字隼人と「2号」が好きだったが、大人になった僕は恐怖感、古さ、いびつさを兼ね備えた「旧1号」に強く惹かれた。それ以来、お金を出すのは「旧1号」に限るという縛りをかけて、現在に至っている。
東京にはいくつか仮面ライダーの「聖地」があるが、多くは取り壊されており、残っている場所は多くない。
そんな中、今でも見に行けるのが観光地であり、僕らにとって聖地である「猿島」と「奥多摩」だ。
猿島(さるしま)は神奈川県の横須賀港から船で渡る無人島。
9話「恐怖コブラ男」 10話「よみがえるコブラ男」 80話「ゲルショッカー出現!ライダー最後の日!」のロケが行われている。
ゲルショッカーの結団式が行われた展望台のシーンは、仮面ライダーファンならば記憶があるかも知れない。
*猿島 聖地訪問記録
→構想7年。仮面ライダーロケが行われた猿島上陸計画
ここ奥多摩(小河内ダム)では 1話「怪奇蜘蛛男」(1971年4月放送)のロケが行われた。
ショッカーに拉致された緑川ルリ子(俳優:真樹千恵子)を救出した旧1号が、蜘蛛の糸をつたって堤防下に逃れた蜘蛛男と対峙する。
蜘蛛男と対峙する旧1号
Copyright 東映・石森プロ・毎日放送
現在の堤防下
今年3月に封切られた映画「シン・仮面ライダー」では冒頭のクモオーグとの対決が、旧1号編と同じ小河内ダム堤防で行われた。
緑川ルリ子(俳優:浜辺美波)をクモオーグが拉致するシーンは、映画に合わせて販売されたシン・仮面ライダーチップス付属のカード「No.14:ルリ子がつかまった」に収録されている。
シン・仮面ライダーチップスカードNo.14
そのロケ場所を探すと、そこは立ち入り禁止だった。
仕方なく、柵の外から撮影する。周りの目が少し気になる。
ダムを臨む立ち入り禁止エリア
後でしらべると、この立ち入り禁止エリアは第2号取水庭の上に設けられた「小河内防災ヘリポート」だった。
奥多摩は大規模病院から距離が遠い場所にあるため、1996年に供用が開始された。
近隣には初心者には難易度の高い山が多く控えており、山岳遭難者の救出にも活用されているのだろう。
クモオーグに対峙する仮面ライダーのポーズは、旧1号ファンの間では有名な「藤岡立ち」
変身前の俳優自らヒーローのコスチューム・アクターとなる(自らヒーローを演じる)草分けとなったのが藤岡弘。彼がライダーコスチュームを纏い怪人と対峙する時の決めポーズが「藤岡立ち」だった。
シン・仮面ライダーの庵野秀明監督は、アクター自らヒーローを演じること、物語の端緒に蜘蛛の怪人を登場させること、奥多摩ロケ、そして「旧1号をリメイク」したと言えるほど、旧1号そっくりの造形。
旧1号ファンにとって、非の打ち所が無い作品を作ってくれた。世の中にはいろいろな立場と価値観の人がいて、好き勝手なことを言うのだろうが、誰がなんと言おうが「シン・仮面ライダー」は百点満点である。
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