奥多摩参考記録【11話】バスの運転手さんの親切さは、その町の人口と反比例している
現在のJR奥多摩駅は、1944年(昭和19年)に国鉄「氷川駅」として開業した。
その後、1971年(昭和46年)国鉄「奥多摩駅」に改称。
2019年、駅舎をリニューアルして現在に至る。
外観は外壁の貼り替えにとどめて「氷川駅」からの面影を残した駅舎は「関東の駅百選」に選ばれている。
⇒国土交通省 関東運輸局 関東の駅百選のウェブページ
故郷の「佐世保駅」は、2001年の高架化に伴う建て替えで、昔の面影が消えた。
思い出の「下関駅」は2006年に東口駅舎が放火により全焼。周辺の空が見えない重苦しい駅になった。
万物は諸行無常、カタチのあるモノはいずれ壊れる。昔ながらの駅舎には必ず、老朽化による建て替えの時期がやってくる。
近年、それぞれの想い出の駅が味気ないカタチに建て直されて、人々をがっかりさせる中で、いくつかの駅は地域の郷愁に寄り添い生まれ変わっている。奥多摩町の皆さんは賢明だ。
10:07 JR奥多摩着
電車が終点の奥多摩、一面二線の島式ホームに滑り込む。
そこには思いのほか多くの人がいて、たった今まで乗客だった誰もが心なしか小走りに見える。
もしかして、5分後に出発する西東京バスの座席争いなのか。
1点リードの終盤、交替で時間を稼ごうとするサッカー選手とは逆に、一見歩いているのだが、実は走っているという技巧を使い、僕は出口へ急いだ。
奥多摩駅を愛でるのは復路の楽しみとして、バス乗り場へ急ぐ。
西東京バスの乗り場は、駅を出て道路を隔てた正面に、呆気ないほど簡単にみつかった。
「小菅の湯」行きのバスは停留所に控えていて、既に乗車が始まっていたが、意外にもラクラク座ることができた。さっき急いでいた人たちは、どこへ消えたのだろう。
「これ、奥多摩湖の方へ行きますか」
念のため、運転手さんに確認すると「行きますよ。中ほどからICタッチしてください」と、プラスワンの親切がついた返事が返ってきた。
田舎にいくほど、運転手さんは親切だ。
バスの運転手さんの親切さは、その町の人口と反比例していると思う
(考えには個人差があります)
10:12 西東京バス奥12(小菅の湯)
往路では川沿いの景色を見ようと思い、左側の座席に座る。乗客は7人。そのうち山の装備をした登山者は1人だけ。僕を含めた3人が散策装備。残りは地元の人か。
バスが走り出して3分が経つと、車窓にはすぐに秘境感が現れ、あたりは山の風景となる。
進行方向左には多摩川が流れているはずだが、絶景の動画撮影ポイントはなかった。
境町のバス停では誰も降りなかった。
事前の調べでは、御前山への登山ルートはここで降りる。
このバス停の近くに白髭神社があることは、後に資料を読み直していて知った。調べが足りなかった。
10:27 奥多摩湖
「小菅の湯」行きは奥多摩湖に定刻で到着。ここでは3人が降りた。
登山者はまだ乗っている。彼の目指す山はもっと奥深くらしい。
左手に奥多摩湖を見ながらバスは進む。
ここではある程度の尺がある動画を撮ることができた。
ここは、スポーツカーのオーナーがドライブに来て、助手席の連れに「まぁ、素敵」と言わせるには、とてもいいコースだと思った。
次は小河内神社(おごうち じんじゃ)というアナウンスがはいり、ピンポンを押した
10:38 小河内神社
バスが止まってから立ち上がり、iPhoneを取り出しながら前方に歩き出すと、運転手さんが言った。
「橋は通行止めですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫です」という言葉は、僕の常用辞典には入っていないが、この状況下、最も速く的確に意図が伝わることを優先して、僕はその言葉を解き放った。
大丈夫じゃなかったとしても、ここまで来て、どうしろって言うの
バスを降りると、あたりには誰もいなかったので、僕は心の声を外に出した。
小河内ダムを作ったことで生まれた水道専用人造湖である奥多摩湖には、湖を歩いて渡れる浮橋があり観光スポットとなっている。
その1つ「麦山浮橋」が現在、渡れなくなっていることは事前にしらべがついている。渡れないのは残念だが仕方が無い。僕は小河内神社を参拝に来ているのだから。そういう意味で「大丈夫」なのだ。
青い空、緑の山、深緑の湖面
そこに、いかにも危なっかしい作りの橋が浮かぶ姿が、とても映えている
だからと言って「ばえ~」と言ったりはしない
手前側の床版(しょうばん 人が渡る部分)が取り外されている。渡れなくなっているのは、自然災害に因るものと想っていたが、破損した形跡は見られない。
さて、神社だ
「小河内神社案内図」の看板をみて現在地と目的地を相対化する。
だが、僕はこの看板を読み解くことができなかった。
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