奥多摩参考記録【20話】ヤマレコに「登山を中止して、今来た道を戻る機能」を探す
13:11
ここで引き返そう。滑落したら危ない。道も狭いし下りはすごく険しいだろう
まだ見たことがない「登山の下り」の景色を想像し、登山開始から14分で「勇気ある撤退」を決めて、それを言葉にした
iPhoneのメモを閉じると、続いて「ヤマレコ」を開く
ヤマレコは、ネットワーク(4Gなど)がない所でも現在地を見失わないよう、事前に周辺地図をダウンロードできる。
目的地のサス沢山は、御前山の道半ばに頂があるので「御前山」の地図をダウンロード。コースは「小河内ダム展望塔」と命名された。
入山時「小河内ダム展望塔」を選択して「登山開始」をタップ
「登山を開始しました。現在の時刻は12時57分です」
という、たどたどしい女性の声を聞いた。
こうした「コンピューター合成音」はこれから、徐々にAIに置き換わり、あたかも人が話しているように語りかけてくるのだろう。
確認はしていなかったけれど、ヤマレコはここまで、僕の軌跡を記録しているはずだ
ヤマレコには、コースを外れると「警告 ルートを外れました。ヤマレコのアプリを開いて地図を確認して道を間違えた場合は引き返してください」というプッシュ通知機能がある。
修正して、正しいルート上に戻ると「警告解除 予定ルートに復帰しました」と発報する。
ここまで、まだ「警告」通知が一度も鳴っていないということは、どうやら僕のルートは正しいらしい。
こうしたヤマレコの基本的な機能は「山と溪谷」で知り、実際に最寄り駅までの散歩で試しておいた。ただ「途中で止める」ことを想定した訓練はしていない。
僕は画面の中に「引き返す」ボタンを探す
ここまで、探り探り、やっとの想いで登ってきた
恐らく、上りよりも下りのほうが、目印を見つけることが難しいだろう
下りの道を見失わないという自信はない
もしも、ルートを外れた時はヤマレコが頼りだ
ただ、現在「登山中」の設定ルートは「入山口→御前山」
途中で引き返すと、アプリは「ルートを外れた」として、警告してくるだろう
僕はいま「現在地→入山口」に戻るルートをガイドして欲しい
電車の乗換案内のような[復路を検索する]ボタンはないだろうか?
だが、そんな都合の良いボタンはどこにも見つからない
(後でしらべたところ、そういう機能はついていなかった)
木々がお日様を遮っていて、直接僕を照らすことはない
恐らく、外気温は20度~25度ほどに保たれていて、山登りとしては悪くない環境にいる
だが、頭が混乱し始めていたのだろう
僕はこんなことを考えた
このまま「登山」を継続した状態で"下山"すると、ヤマレコから見れば、僕はどんどんコースから逸脱していく。
もしも、それが遭難と判断された場合、ヤマレコのサーバーから自動的に救難要請が出されるのではないか?
ヤマレコにそんな機能があるのかを確認していない。あったとしても、それは有料会員限定だろう。
遭難者のApple Watchが、自動的に救難信号を出すTVCMを見過ぎたのかも知れない。
いずれにせよ、確証がない
論理的な思考は難しく、暫定的な判断が求められている
そこで、僕は自身の信条に立ち返る
妄想が膨らみそうになった時は「思考停止」する
そして「目の前の一分に集中」する
僕は次の瞬間「停止」ボタンを押していた
「ログ停止 GPSのログを停止します。よろしいですか?」
OKをタップ
つづいて「登山終了」をタップ
「登山終了 この登山を終了します。よろしいですか?」
OKをタップ
後にヤマレコのタイムスタンプを見ると、僕はメモを書いてから、5分ほど迷っていたらしい
「今来た道を戻る機能」がないならば、これから道を作るしかない
だが、僕の頭は「混乱」から「動転」に一歩、フェーズを進めていた
今いる場所がゼンリンの住宅地図で表せるような、建物と道路で満ちあふれた場所ならば、ヤマレコに頼るまでもなく、標準のmapアプリで事足りる。
だが、ここは蜂や蟻や植物たちの住処であり、目印になるコンビニも交差点もない
iPhoneのGPSは、依然として正常に僕の現在地を捕捉しているし、目的地である小河内ダムも地図上に見えている。
だが、その途中の「下山ルート」を表示する方法がわからない
少しずつ、心に焦燥の雪が積もり始めていた
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