奥多摩参考記録【32話】初登山に「単独行」の選択は妥当だったのか
奥多摩山行の翌日、僕は引越の手伝いで知人の家にいた。
山行当夜にはさほど感じていなかったのだが、朝起きてから、腰から足にかけて、激しい筋肉痛が襲っていた。
かなりの広範囲にバンテリンコーワを塗ったが、一向に収まらない。
僕が脚立に登り、カーテンを取り付けていると、そばにいた知人が「なんか、やばい病気の人なの?」と驚いた。
僕が両足を踏ん張った痙攣がぷるぷると伝わり、脚立が地響きのような音を立てていたのだ。
左前腕(肘から先)にできていた擦り傷が薄くなったのと交替して、前腕一面に青あざと言うよりは"黄色がかかった痣"が浮かび上がってきた。
滑落しながら、できるだけ背中を斜面から離さないよう、幼児が乗る自転車の補助輪のように、左右の前腕を使って地面を押さえていた。
どこかでひどく打ち付けたというよりは、至るところで地面から摩擦を受けたのだろう。
当日は「亜脱臼か?」と想っていた左肩は、時々、回して確かめないと、一生回らなくなるんじゃ無いかというくらいに重い。
【検証1】
初登山に「単独行」の選択は妥当だったのか
1人で山に行くことを「単独行」という。
2人以上で行くことは「パーティ登山」
パーティとは、山登りを行う仲間やグループ。通常はリーダーを置く。
奥多摩の山々を管轄する警視庁青梅警察署山岳救助隊のウェブページによると、令和4年度の山岳遭難発生状況は、遭難件数84件(死者7人、重傷23名)
(パーティ登山と想われる)複数遭難は8件
(単独行と想われる)単数遭難は76件
およそ90%が単独行と想われる。
遭難の確率を下げるには「単独行」は避けるという結論は揺るがないが、ではなぜ多くの登山者が「単独行」をするのか。
今回、僕が「単独行」をした理由は2つ
1,1人で決められるので、日程・行程の自由度が高い
2,一緒に行ってくれる友達がいない
これは僕だけに限った話しではなく、単独行遭難者の体験談からも同様の声が聞かれる。
では、今回の奥多摩山行が「パーティ登山」だったら、どうだったのか。
プロのガイドを雇えばよいのかも知れないが、大抵の場合、登山経験の有無にかかわらず、友人と組むことになっただろう。
その場合、相手が居ることで、弱音を吐きづらい状況になったと想う。
今回は登山開始から14分で諦めたが、仲間がいた場合、もう少し無理をしただろう。
何もよいところはなかったような今回の「奥多摩山行」から、たった1つグッドポイントを摘み上げるとすれば、この「14分の撤退」を挙げる。
道に迷い滑落している状況の中でも、まだ、それほど登っていないという安心感があった。
これが、ある程度標高が高い場所で、同じ状況になった場合、不安はさらに大きいものだったはずだ。
「パーティ登山」だった場合、いざ、諦めて下山するとなった時、誰かと共に険しい路を降りることも、難しかったと想われる。
そして、今回、僕がそうであったように、一方が滑落した場合、共倒れになった可能性が高い。
安全を確保しているメンバーが、警察に通報して救助を待つといった冷静な判断は難しかったと想う。
「単独行」が、失敗の第一要因ではないと考えている。
「単独行」が妥当か否かといえば、どちらでもなく、それは、仕方ない。
いつもパーティを組める登山家たちがいるように、いつも、1人で行動したい登山家だっている。
むしろ、僕が失敗要因として、問うべきなのは「山とコースの選択」そして「ど素人!の登山への認識」である。
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