奥多摩参考記録【25話】亜脱臼? 肩に力が入らない
目の前にあるのは、どう考えても奥多摩湖であり、ここが、30分ほど前に迷い込んだ遊歩道(奥多摩湖いこいの路)であることは、間違いなさそうだ
ちょうど、目の前に伐採した木で設えた休憩所がある
椅子に座りバックパックを下ろして、OS-1を一口のむ
飲み口が汚れていて、泥の味がした
そんなの関係ない、全然関係ない、こうして、水を飲めていることが僥倖だ
ひと区切りついて、井之頭五郎ならば「よし店を探そう」となるところだが、命からがら山を滑り降りてきた僕は「自分の状態を確認しよう」と考え、専門用語でいう「セルフレスキュー」に着手した
ウィンドブレーカーを脱ぐと、左手前腕の広い範囲に擦り傷があった
ウィンドブレーカーが破れていないのに、地肌がこれほど擦れるとは・・・
すごい摩擦熱を受けたのだろう
(このかすり傷は3日ほどで引いた)
まずは血を止めることから始める
シーブリーズを多めに吹き付けて、ウェットティッシュで泥を取る
清涼剤として持ってきたシーブリーズが、消毒剤として役立った
ウェットティッシュも、荷造りの最後に外そうか迷った。持ってきてよかった
感染予防の効能があるゲンタシン軟膏を薄く塗り、キズパワーパッドを貼る
「ふつうサイズ」では、傷の大きさを十分に覆いきれていないが仕方ない
後日「大きめサイズ」を買った
「消毒剤やクリームと一緒に使わない」とキズパワーパッドの説明書に書いてあるのを読んだのは帰宅後だった
そういえば、さっきから、左肩に力が入らない
さっき金網を登るのは「無理だよ」と想ったのは、このせいだったらしい
もしかして、これが脱臼なのか
これまでの人生で経験のない骨折と脱臼
恐る恐る左手を上げてみる 頭の高さまで上がった
腕を軽く回してみる いつもより動きは鈍いが回った
これを脱臼と呼んだら、世界中の整形外科医や接骨院の皆さんに笑われるな
じゃ、亜脱臼?
まぁ、それは追々。とりあえず肩が胴体と繋がっていて、最低限度の機能を維持していれば今はOKだ
左手首を切った以外に外傷はなく、何かにぶつけた時のような痛みもない。服の上から目検できる範囲を確認すると、深い息をついた。
暑っ
五月の日差しが強く照りつけていて、僕はそこが日陰ではないこと、すぐ隣りの椅子は日陰に入っていることに気づく
荷物を持って、そちらへ移る
2020灰パンを脱ぐと、泥で汚れている
ウェットティッシュで表面の泥を拭き取る。それでもまだべっとりとした"泥まみれ感"は否めない。ただ「ちょっと、転んだのかな」程度に目立たなくはなった
これで、オッケーだな
ここから先、奥多摩湖の散策者達とすれ違っても「わっ、あのヒトどうしたの?」と訝しがられることはないだろう
13:39
治療と身繕いを終え、滑ってきた方向から右に向かって歩き始める
つい40分ほど前、この路に迷い込んだおかげで僕には「土地勘」があり、このまま往けば、登山口の小河内ダム堤防に戻れることに確信が持てる
13:50
「クマ目撃情報」の貼り紙がある「奥多摩湖いこいの路」のゲートに戻って来た。今日2度目だ
さっきは「時間を15分無駄にした」と思ったが、それは、貴重な15分だったことになる
先ほど会釈した青年監視員の横を通り過ぎて堤防道路へ
日を遮るモノがない堤防に立つ青年は、暑さで朦朧としているのか、僕のことなど気にも留めない
「あの人、登山口から登ったのに、違うところから降りてきたぞ」
と気づくほど、青年は奥多摩の地理を理解してはいないだろう
先ほどはお昼休憩を取っていた堤防道路の作業従事者たちが、午後の作業に戻っている
レオンポケット4のタグ(温湿度センサー)は 30.1度 27.9% を示していた
前日の予報は最高気温21度だったが、日差しのある場所は例外らしい
| 固定リンク | 0
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 近くて便利 賑わいを感じるノース電停からの階段下(2024.12.03)
- 羽田からユニフォーム サテライトとバスラウンジでこんがらがる(2024.12.02)
- 旅にサッカー観戦に役立つ東京マラソンの簡易リュック(2024.11.22)
- 短い旅に好適なCABIN ZERO を手に入れた(2024.11.21)
- Jリーグ日程の発表からピース旅が動き出す(2024.11.03)
コメント