奥多摩参考記録【34話】無意識のエナジー全開で出た「火事場の馬鹿力」
奥多摩山行から6日
朝目が覚めると、左肩の痛みが強くなっていた
動かなくなったのでは?という不安に苛まれて、肩を軽く回す
両足のつけねから膝にかけての筋肉痛は、やや軽減されたとはいえ、依然として踏ん張るとぷるぷると足が震える
「火事場の馬鹿力」という諺がある。
(火事場のクソ力ではない)
危機的状況に追いこまれた時、普段では考えられないほどの力が出るということの例えだ。
奥多摩で20kgの米俵を運んではいない
奥多摩で20kmのトレイル・ランニングをしたわけでもない
それでも、これだけの痛みが残っている
斜面滑落という生命の危機に接し、無意識にエナジー全開となり、まさに「火事場の馬鹿力」で踏ん張り、身体の安全を支えていたのだろう。
【検証3】
事前の情報共有
かつて青梅警察署山岳救助隊に勤務した金邦夫氏の著書「侮るな東京の山」山と溪谷社 2023年3月 には、遭難者が「せめて登る山名とそのコースを書いたメモ一枚だけでも残してくれていたら」捜索場所が絞りやすくなると書かれている。
捜索場所が絞り込めれば、早期発見につながる。
発見が早い順に救助>遺体発見>行方不明となる。
同著によると、行方不明者に共通しているのは「中高年男性」「単独行」「比較的初心者」「登山届未提出者」であるという。
原則として情報共有は、警察署との情報共有である「登山届」と、知人・家族との情報共有の2つ。
1.登山届=登山計画書
フォーマットは自治体のウェブサイトでダウンロードできる。
ヤマレコなどの山アプリでも提出できるものがある。
事前提出は、地方公共団体が定める「条例」で義務化されている地域がある。
ただし、国の法令としては義務化されていない。
サス沢山がある奥多摩町では義務化されており、奥多摩駅前や奥多摩ビジターセンターに提出ポストが設置されている。
2.知人・家族との情報共有
警察署への捜索願の大半は家族、同僚などから出される。
事前に共有しておく情報は「奥多摩で山に登る」では不十分。
警察が捜索にアサインできる人数には限りがあり、捜索範囲が広いほど発見の遅れに繋がる。
「11時頃に奥多摩湖でバスを降りて、奥多摩湖側の登山口からサス沢山に上る。18時までには帰宅する」が最低限の情報となる。
それには"自分用に作った"計画を、情報共有するとよいだろう。
・作成したスケジュール、登山ルート図を印刷したもの
・ヤマレコに作成した登山計画
奥多摩に往くその日まで、少しだけ山に入ることも、死と隣り合わせであるという認識はなかった。
登山が危険なのは、冬山や数千メートル級の高峰をピッケルやハーネスを使って登る人たちの話しだと想っていた。
不幸中の幸いで、サス沢山への山行撤退では、捜索願には至らなかった。
こうした情報共有をしておくことが、何かの時に自分を早く見つけてもらい、生還につながるということを、強く心に刻んだのだった。
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