奥多摩参考記録【33話】初登山にサス沢山という選択は妥当だったのか
今回の奥多摩往きは、知人の薦めにより「神社巡り」と「山歩き」をテーマとしていた。
「山歩き」の部で、初登山に選んだのがサス沢山(さすざわやま)
サス沢山を選んだ理由は2つ。
1,散策の主要目的地である小河内ダムから一番近い
2,小河内ダム近隣の山では登山コースタイムが一番短い
サス沢山の登山口は小河内ダム堤防道路を渡りきってすぐ小河内ダム展望広場にある。
ガイドブックによると、奥多摩湖バス停からサス沢山までのコースタイムは上り1:20、下り1:00、合わせて 2:20。
神社を巡り、小河内ダムを散策して、山にも登るという「行程」を組むには唯一の選択肢だった。
【検証2】
初登山にサス沢山の選択は妥当だったのか
終わってみれば、答えは「妥当ではない」となる。
ただ、他に選択肢がないからといって、何もしらべなかったわけではない。
「三度の飯」よりしらべることが好きな僕が、初体験の対象について「しらべる」ことを端折るような勿体ないことはしない。
ただ、しらべてはみたものの、サス沢山に触れているガイドブックは少なかった。
人気が無いのか、あるいは他に理由があるのか?
そこを斟酌することは、登山未経験の僕にはできなかった。
専用のガイドブックが多く出ている高尾山のような山ならば、多くの人が登っているのだから安心感がある。
動きやすい服装と、山に見合う身なり、歩きやすい靴。
それらを揃えていれば、登山地図、コンパス、ヘッドライト、火気、ツェルトといった登山家の必須アイテムは持たない。
だって、ハイキングの延長ですから・・
これが、登山を経験したことがない人の「登山の認識」ではないだろうか。
"奥多摩前"の僕がそうだったように。
名も知らぬサス沢山。初めは「さすさわやま」と読んでいた。
果たしてそこは、僕のようなど素人!が初登山で登っていいところなのか?
こうした一定の警戒感を持っていたからこそ、14冊の奥多摩ガイドブックを隅々までチェックした。
ガイドブックに載っていたサス沢山の記述は次のとおり。
・序盤 急坂、ヤセ尾根、足下に注意 露岩と木の根で登りにくい急坂
・後半 樹林の中の急坂がつづく
・誘導ロープに従って大きくカーブ
・ところどころ設置されたロープをつたいながらの急登が続く
どのガイドブックも、サス沢山の記述は1行、最大15文字以内。
「急坂」「急登」には身が引き締まる思いがした。
「序盤 急坂、ヤセ尾根、足下に注意 露岩と木の根で登りにくい急坂」の部分は、まさに仰るとおり。
登山から14分で撤退したため「樹林の中の急坂」「誘導ロープ」の場所には至っていない。
ただ、これらの情報から「初心者が登山を思いとどまるような警告」を読み取ることができなかった。
なぜ、もっと強い語調でリスクの高さを警告してくれなかったのか?
奥多摩から帰って一週間くらいは、そんなふうに考えていた。
「Google先生」に「サス沢山 評判」を尋ねてみたが、初心者には危険な山だという意見は見当たらない。
一週間ほど、同じことを何度も考え、幾度かの睡眠を経ると、脳の夜間バッチ処理が行われると、頭の中が整理されてきた。
そもそも、ガイドブックというのは「山に来てね」と登山を薦めるために作られている。それを手にする人は「山に往きたい」と想っている人たち。
一定の危険情報は提示するものの「初心者に山の怖さを教える」のは、ガイドブックの役割ではないのである。
奥多摩に行く前の時点で、山岳遭難については「月刊山と溪谷」の記事で読んでいたが、遭難をテーマにした書籍は視野に入っていなかった。
ど素人!が初登山を考える時、ガイドブックで山のすばらしさに思いを馳せる一方、登山の心得、遭難を専門に扱った書籍を読み込んでおく必要がある。
これが、今回の「奥多摩プロジェクト」で得た、最も貴重な教訓である。
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