元春が「今、何処」で「魂」を繰り返し謳う。それを自分の音楽として聴く
佐野元春 今、何処ツアー2023 ⑤
元春の立ち位置にはペルシャ風絨毯が敷かれている。
一見「SWEET16」ジャケットのチェリーパイかと想ったが、双眼鏡で確認したところそうではなかった。
19:03
開園時間に客電が消えて、チキンラーメンができる程の時間をおいてメンバーがステージに姿を現す
最後に元春がゆっくりと姿を表す
かつて「今日は最初からホットにいこう」とスキップ走法で駆けだしてきた元春ではなく、2023年の元春が軽く僕らに手を振る
僕らから見て「元春絨毯」の左手に設えた電子ピアノの前に座り、いきなりピアノマン元春
1曲めから元春がピアノの前に座ったのは初めてではないか?
いや、1996年「フルーツツアー」のオープニングが「サンチャイルドは僕の友達」だった時にピアノだったか・・・記憶が無い
【凡例】
□曲目|収録アルバム
□さよならメランコリア|今、何処
神奈川県民ホール3階の赤い手すりは、最前列の席で深く腰掛けてもぎりぎり元春とは被らない。けれど、あと10cmくらい低くしてくれてもいい。
手すりから手を出したり身を乗り出すと周囲の方が見づらくなる。そして場内係員を不安にさせるから控えているので、一階席アリーナが今どんな状況なのかはわからない。拍手と歓声から察するに既に総立ちなのだろう。
三階最前列でも一部の観客が立ち上がったが、しばらくして係員が来て座るように言われた。立ちたい気持ちはわかるが、この列には「立ち見禁止」ルールがある。迅速にルールを説明に来た係員のお陰でさざ波が納まる。
♪ぶちあげろ魂 君の魂♪
元春はこれまで「魂」という言葉をよく使ってきた。
「確かに、子どものほうが自由な魂をもってるよね」
*妻夫木聡との対談(「大人エレベーター」より)
かつて「天使」という言葉を多用したように、このアルバム「今、何処」では「魂」の使用頻度が高い。
もしかすると、このアルバムについてのメディア・インタビューを探せば「魂」リリックの頻出について何か語っているのかも知れない・・・
一瞬だけそう想ったが、やはり、元春はそうしたことを語らないと想う(僕の予想が正しければ)
だから記事を探さなかった。
彼が「魂」に託す意味を言い当てる必要はない。
僕らが受け取った楽曲は、僕らが「僕の曲」として聴き、僕の解釈をする。
受け手たちは、広辞苑に載っている「魂」ということばの意味を答えられる人ばかりではないし、答えを言えたとして、それぞれの人が「魂」に託す意味は違う。
僕には僕の「魂」の定義がある。それは信頼している親友から教えられたもの。試しに、その定義を元春の歌詞に乗せてみたが(僕の魂は)元春が謳うようにぶちあがらないし、暮れなずまない。
そこは、元春が今作で「魂」に託す意味と僕の定義の違いであって、どちらかが正しいとか間違いということではない。
元春が謳う「魂」が使われた歌詞については、広辞苑第七版において「魂」の②に書かれている「精神。気力。思慮分別。」を当てはめるとわかりやすかった。
□銀の月|今、何処
♪人を貶めるうちに暮れなずんでゆく魂♪
人が生きていく日々・時々の葛藤は、僕が過ごしてきたサラリーマン人生に、いくつもあった。
"私たちは仲間の人達とつながる 。他の人達を自分の敵とみなす人は 、勇気に欠けていて 、集団の中で望む結果を得るには困難な時があるだろう"
「アドラー心理学」でお馴染みのアルフレッド・アドラーはそう強調している。
佐野元春「銀の月」は、人間関係に悩む人すべてへの強力な応援歌だと想う
後方スクリーンには、宇宙船で宇宙飛行士がギターを弾く映像
僕は少しだけ笑った
【このお話の目次】Apple Musicでしっかり予習して臨む 佐野元春 今、何処 TOUR 2023
→ど素人!佐野元春講座
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