Yaeh(ヤエー)と名前がついてピースは文化になった
今日は3人にヤエーしてもらった!
ゆく夏を惜しみ蝉が全力で鳴き続けていたある日、SNSにこんな投稿を見つけた。
野営?
山岳関係者?工事現場の人?
それにしても「してもらう」ってなんだ?
すると、すぐにいくつかのコメントがスレッドに並ぶ
・するのもされるのも好き
・今度すれ違ったらヤエーするよ
・今度、勇気出してヤエーしてみようかな
するのもされるのも好き?
すれ違ったらする?
勇気出してする?
なんだか甘酸っぱい感じになってきた^^)
そこで、最近の相棒「Bardくん」に尋ねると「バイク乗り同士がツーリング中に行う挨拶」とわかった。
なんだ、それなら僕もやったことあるぞ、40年前に。
今はそういう名前が付いたんだな。
ヤエーは路上ですれ違いざまにライダー同士が交わす挨拶についた愛称。
2003年、インターネット掲示板の「ピースしようぜ!」というスレッドで、バイクのハンドサインについてやりとりをしていたところ、誰かが「Yeah(イエー)」を「Yaeh(ヤエー)」と打ち間違えたことから広まったという。
こうした挨拶は、1970年代からツーリング中のライダーの間で行われてきた。
当時、この行為に特定の名前はなく「ピース」とか「Vサイン」と呼び方はばらけていたし、名前がないから話題に上ることも少なかった。
1981年 RZ350でツーリングに出た僕は、向こうからくるライダーがピースサインをしてくるのに戸惑った。
顔がにっこり笑っているから、ねずみ取りのサインじゃないな
好意をもった挨拶だから、なんか返さないと
でも、ピースサインは恥ずかしい
それじゃ、テレビカメラを見たらとりあえずやっとく田舎の子どもみたいだ
一瞬、たじろぐ僕(イメージ)
だから、いつも「よっ」と手を挙げ返すだけだった
僕は自分からは行けないライダーだった
これは、今も変わらない
挨拶するかしないか微妙な関係の相手に対して「挨拶スイッチ」が入らない。
それでも、相手が挨拶してきたら返せるよう、笑顔と右手の用意はしておく。
商店街の魚屋さんと挨拶するのに憧れるけれど、未だに知らんぷりを続けている。
路上を行き交う見知らぬ者どうしが挨拶を交わす。
なんと、素敵な文化だろう。
もしも、これが世界中の文化だったら、争いごとはずいぶんと減るだろう。
いいことだから、もっと広まればいいのだが、そうはいかない。
ヤエーが行われる成立要件に二つの特殊事情がある。
1.バイクのライダー
体がむき出しであり(相手から見て)挨拶していることがわかりやすい。
一瞬アクセルを握った手を離しても、惰性がついており車体は安定している。
2.ツーリング
バイクの場合、傍目から旅の荷物が見えるので「旅の途中」であることがわかる。
「ちょっと畑を見に行く途中」でないことは一目瞭然。
そこに「旅の途中」仲間という特別な共感が起きる。
自動車(四輪車)でロングツーリングに出ていたとしても、キャリアに荷物を積んでいない限り「旅の途中」である人を見極めるのは難しい。
「バイク旅」という同じ趣味を持つ者どうしの共感を挨拶で表現する。それは、登山道で挨拶を交わす登山家にも通じる。
本来はバイクのライダーが交わすハンドサインだが、最近は沿道からライダーに対する「沿道ヤエー」
同じ方向に走っているカッコイイバイクをみていると、相手からの「ドヤエー」といったオプションも現れている。
予期していない時に相手からヤエーされると、即座に反応できないことがある。だが、すれ違いざまなので2度とチャンスはない。まさに「一期一エー」
かつて名も無き挨拶だった頃から時は流れ、今や「ピース」は「ヤエー」となった。
現代のライダーたちが羨ましい。
ものごとは名前が付くと文化に育つ。
町でゴミを拾う行為、お年寄りに席を譲る行為に、いかした名前がついた日から、多くの人が「自分もやってみたい」「今日初めてやった」といったことを言い始め、それが文化として定着するだろう。
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