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2023年11月11日 (土)

街は驚きに溢れている

渋谷にバスケットの応援に行く
最寄り駅までの徒歩時間を逆算して決めた「出発」時間まで30分を残してやることがなくなったので早めに出ることにした。
早めに着いたらどこかで文庫でも読もう。

予定していたダイヤより3つ早い電車に乗り込み、リュックを膝に置いて着席。目力を温存するため目を閉じて過ごす。
いくつめかの駅に着いた時「ごとっ」と大きな音がした。その音に聞きおぼえがあった。
人が倒れ、固い床で頭を打った時の音だ。

きゃーと悲鳴が上がる。周りにいた人が群がっている
「ボタン押して」
「救急車だ」
強い言葉が飛び交う。こういう時、声の主は自分で何もせず誰かに指示を出してプレゼンスを示す。
壁際にいた青年が緊急停止ボタンを押す。電車はドアが開いたまま動きを止めている。

スマホをかざして撮影しているような不遜な人は見当たらない。

座っている場合じゃないな
立ち上がり人垣の後ろに立つと、女性が「お名前言えますか」と声をかけている。
すぐ手を出すことなく、まず状態を確かめる。正しい手順だ。
そこで膠着するようならば、普通救命の手順に沿って参加しよう。
そう考えていると事態は意外な展開をみせた。

倒れていたおじさんが夢遊病者のように「すっく」と立ち上がった
クラブ古城はいいところだね」といった第一声はなく「大丈夫ですか」といった周囲の呼びかけにも応じない

「無理をしないほうがいいですよ」
周りから声がかかる。でも、彼はなんだかとても怒っているようだ。
誰の問いかけにも応えず、そのままスタスタと開いているドアからホームに降りて改札へ続く人混みに消えてしまった。

周りの皆さんは目が点になっている・o・;)
僕と数人がホームに降りてその後ろ姿を見送る。

電車は止まったまま。この路線はワンマン運転なのですぐに車掌が来ることはない。
運転席の安全対策を終え運転手がようやくホームに降り立つと、その後ろから駅員が1人ついてきた。

現場に戻り、おじさんが倒れていた場所に落し物がないかを確認。
できるだけ早くコトが済むよう僕らはホームを歩いて2人を迎撃。
今起きたこと、立ち去ったおじさんの特徴について話す。
駅員がそれを聞き取って、おじさんの後を追う。
運転士は運転席に戻っていく。

他の車両に乗っている人たちは何が起きたか分からず、電車が遅れることに苛立ちを感じているだろう。
僕は近くのドアから電車に戻る。座席はどこも空いてなくて、リュックを前にかるい直して目的の駅までずっと車窓に流れる景色を見ていた。


青山学院への最寄り出口は宮益坂方面出口だが、心はハチ公口を目指していた。見ておきたいものがあったからだ。

ハチ公口に降りる階段は利用者数に対して幅が狭い。ホームの端に位置するため拡幅できないのだろう。
中心を仕切る手すりの向こうは本来「上り」レーンだが、そこも「下り」の人で埋まっている。
恐怖感を覚える。将棋倒しが起きたら大けがになる。
後ろから押された時に備え、中央の手すり沿いのレーンを見つけ、女子高校生の後に続く。
彼女は一心不乱にスマホに文字入力している。
階段恐怖症」の僕からすると、下りは足を踏み外さないで歩くのがやっとであり、そこでスマホが打てる能力が信じられない。


高い緊張感で半分ほど下った時だ。

スマホに高速打ち込みしていた女子高校生が階段を踏み外した。
彼女はなんとか転倒を免れたが、その拍子にスマホが宙を舞い、手すりの向こうへ
すると「上り」レーンを下っていた青年、それに好反応してキャッチを試みる
スマホがこの高さから固い地面に落ちれば、どんな損害が生じるか誰もが知っている

掴んだ!
かと思ったら手に着かずファンブル
やばっ
女子高生と僕は固唾を呑む
青年はそれでも諦めない
2度ファンブルした後、執念の拝み取り!
みごとにキャッチして女子高生に渡す
「ナイスキャッチ」
僕は思わず声をかける
女子高生はニコリともせず、受け取ったスマホに続きを打ち始めた・・・


飼主の死後10年にわたり渋谷駅で飼主の帰りを待ったという「忠犬ハチ公」のエピソードに感銘した外国人観光客がハチ公像の前で記念撮影の行列を作っている

数日前、テレビで言っていた。
観光地でカメラを首から提げ、行列を作るのは日本人の十八番だったのに、今や外国人が行列しているというのが興味深くて、様子を見に来た。

本当に並んでいた
遠くにハチ公が見える
並んでいるのは外国人ばかり。皆、とても嬉しそうだ
外国人だけなのに「行列」というルールが成立しているのは、とても美しいエピソードだ。整列という概念がない人々は見当たらなかった。


かつて寺山修司は「若者よ書を捨てよ街に出よ」と言った。
街は驚きに溢れている。
現代に置き換えた時「書」に当たるのはスマホ。若者がスマホを捨てるのは難しいが、せめて歩く時はポケットに入れた方がいいかも知れない。

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