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2023年11月26日 (日)

ライブ当日の昼に決まった緊急クィーン参戦

九電記念体育館2daysの2日め10月20日

僕はいつものようにRZ350に乗って学校に出かけ、二限を終えるといつものように学食に向かった。
僕が入っていた「ちょびっと」を刊行する「西南ミニコミ編集部(SMEC)」には部室がない。週2回の部活は4号館の教室で行っていた。
学食は愛好会に属する者にとっては部室代わりで「そこに行けば誰かに会える」場所でもあった。
「ちょびっと」の仲間が占拠したテーブルで、朝昼兼用の玉子は薄いがシンプルで美味いオムライス(350円)を食べる。
いつもは180円のカレーを"飲むように"食べるのだが、オムライスはバイト代が入った時の贅沢。小さめにさじを入れて大切に食べていた時、ミヨシが声を掛けてきた。
ミヨシはどの部活にも属していないが「ちょびっと」のメンバーと親交が深く、飲み会にも顔を出していたから、僕もよく話していたし音楽の話しでは共感することが多かった。

「おまえ、クィーンのファンやったよね?」
トレードマークのたすき掛けしたカバン姿で現れたミヨシは、藪から棒に話しかけてきた。
彼はいつもRKBでコンサート警備のバイトをしている。ロックファンの僕をレインボーとM.S.G.のコンサート警備に呼んでくれたこともあった。

レインボー 席の上には決して立たないでください

「タダで入れるけん今日のコンサート、見に行かんや?」
その言葉には質問の余地がなかった。
クィーンを好きな僕がクィーンを見たくないわけがないし、タダならば金銭的な障壁もない。幸運にもその日、アルバイトは入っていなかった。
「行く!」
三度の飯を二度に減らして食べていたオムライスの手を止めて即答した。喉がゴロゴロ鳴っているのを気づかれたかも知れない。


「Hot Space Tour '82」
クィーン5回目の来日公演初日となった九電記念公演は散々な入りとなった。
この入りに怒ったクィーン側は「明日の公演のキャンセルも辞さない」という構えをとったという。

実際に現場を見ていないので、どの程度の空席があったかはわからないが、スタッフから見て怒りがわくくらい、一目瞭然にガラガラだったのだろう。
スタッフ以前にフレディやメンバーが「おいおい、これはひどいよ」とマネージャーに訴えたのかも知れない。

「Hot Space Tour '82」のライブDVD「On Fire Live at the Bowl」は主に英国ミルトン・キーンズ ボール*の映像が収録されている。

*Milton Keynes Bowl
イギリス バッキンガムシャー州
現在の名称は The National Bowl
収容人数65,000人

その映像には「ライブエイドかっ」と見まがうほどの観衆がひしめき合っている。
'39 Prease
」のゲーフラを掲げたファンに共感する
日本公演はその4ヶ月後。
日本と言えば1973年~74年、アルバムでいえば「戦慄の王女」から「SHEER HEART ATTACK」の頃、なかなか英米で芽の出なかったクィーンをいち早く見いだしブレイクさせた国。
クィーンのメンバーが日本を語る時、判で押したようにその逸話と感謝を述べている。
日本のファンとの再会を楽しみにしていたメンバーの目に映ったのは、ガラガラの九電記念体育館。怒る以前に哀しかったかも知れない。


ミュージシャンとマネージャーにしてみれば、宣伝費はレコード会社やプロモーターが出すものであって自分たちが払うわけではない。主催者の宣伝が足りないと想ったかも知れない。

だが、福岡に住むクィーンファンの側から言えば、2DAYS開催地を福岡にしたところにボタンの掛け違いがある。
クィーンが福岡に来るのは3年ぶりと公演間隔は空いていたものの、半年前に出た新作は「HOT SPACE」傑作と呼ぶには少し遠い。
開催日は平日の(火)(水)で福岡市内のサラリーマンはよいとしても、北九州や久留米には厳しい。ましてや他県のファンは有給休暇をとる必要がある。
「ワークライフバランス」という言葉はない時代であり、遠方のファンは涙を呑んだ人が多かっただろう。

そもそも、来日5都市6公演で、なぜ唯一の「2days」が福岡なのか。
「フレディは博多が一番好き」という話しは聞いたことがない。
博多の興行主が「絶対に入るけん、まかしときんしゃい」と大見得を切ったとも思えない。
恐らく、集客が見込める首都圏で2daysの会場を抑えることができなかったのだろう。
1981年10月に開業していた福岡国際センター(コンサート時収容約11,000人)が空いていなかったのか、福岡で1万人集客は無理という判断だったのかは知る由もない。

■5都市6公演の会場
福岡市 九電記念体育館(2days)
兵庫県 西宮球場
名古屋市 国際展示場
北海道立産業共進会場(2016年閉鎖)
所沢市 西武ライオンズ球場

つづく




QUEEN THE RHAPSODY TOUR 2024年2月14日

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