クィーン福岡で最後の公演 九電2days 2日めは一転して超満員
西鉄バスを城南線で降り細い路地を抜けて浄水通りにでる。
ミヨシと落ち合って九電記念体育館に進むと、そこには驚愕 ・o・;)
の風景が広がっていた。
見るからに学生とわかる集団がとぐろを巻いていたのだ。
平日(水)のこの時間、その日に声を掛けて集まれるのは学生くらいだろうが、服装も年齢層も学生そのもの。「学校帰りに寄りました」という雰囲気を醸し出している。記憶が確かならば・・圧倒的に男性ばかりで、女性がいた記憶がない。
時代は昭和なので、フレディの仮装をした人やブライアンのかつらをかぶった人も、クィーンTシャツを着ている人もいない。
いったい、どんな方法で集めたのか?
一瞬そう想ったが、すぐに疑問は懸念へと移行した。
こんなにたくさん(タダ見の)人がいて本当に入れるのか?
「はい、ここまでです」と締め切られるんじゃないか?
半信半疑の僕は ミヨシにぴったりとくっつき、なんとしても会場に入れるよう緊張感を高めていた。
だが、そんな不安をよそに、長い列を作っていた僕らに向かって場内整理員はあっさりと言った。
「はい、皆さんは2階席に上がって!」
まるでエキストラを配置するような指し図だ。
招待券なし、氏名確認なし、荷物チェックなし
そこらにいた人がなだれ込むように階段を上り会場に入った。
場所は2階席後方をぐるりと囲む立ち見エリア。
クィーンが見れるとあればそんなことはどうでもいい。どっちみち開演すればみな立つのだから。
お金を払って立ち見席を買っていた人もいるんじゃないか?
そんなことは、その時、脳裏にもよぎらなかった。
15で出会ってから、文字通りレコードがすり切れるまで聴いてきたクィーン。
その日がクィーンと対面できる日になるとは、朝起きて歯を磨いた時には夢にも思わない。
クィーンのメンバーはまだ若い。やがて僕は社会に出てお金を手にする。それから見に行けばいい。
漠然とそう考えていた夢の日が「おまえ、クィーンのファンやったよね?」というミヨシの一言で突然訪れた。
人生には「夢のような1日」が何度か訪れる。
それは数週間前から予告されることもあれば、その日突然通告されることもある。
思い起こすに60年生きてきてそんな日は片手で余るほどだが、この日はまさにそんな日だった。
「夢のような1日」の内容は大抵、ここには書けないか、話題性のない話しだが、クィーンを見た1日は、数少ないここに書ける1日だった。
何が何だかわからないけど、とにかくスゴイことが起きていることだけはわかる。
混乱する状況のなか、興奮気味の僕にようやくミヨシが状況を話してくれた。
学食で周りに「ちょびっと」のメンバーがいる所では話しづらかったのだろう。「詳しいことはその時話すよ」と言われていた。
初日のコンサートが不入りだったことで、クィーン側から「明日はなんとかしないと、公演のキャンセルも辞さない」という強い抗議を受けた。
今日の明日で客席を埋めるということが、どういうことを指すか大人ならばわかる。
数ヶ月をかけて売れなかったチケットが、一夜で売れるはずがない。
"クィーン側"とは恐らくマネージャーで、とにかくメンバーが気持ちよく演奏できるよう「とにかく客席を埋めてくれ」という意味の要請だろう。
要請を受けた主催者側は昨夜のうちに、ラジオで急遽招待の呼びかけをしたのだという。
それを聞いて謎が解けた。アルバイトのクチコミくらいでは、これだけの人は集まらない。
当時はパソコンも携帯もインターネットもない時代。
情報を拡散する手段は、電波と活字の媒体が主体。
「電話」で拡散できなくはないが、人出と時間を要するし、情報の伝え方が難しい。
そして「今日の明日」と時間が限られたなかでは放送局の電波に頼らざるを得なかった。
まさか「がらがらの客席にクィーン側が怒っているのでタダで招待します」とは言えない。どのような言い回しだったのかは不明だが、現場では招待券はおろか氏名確認もなかったところをみると 「先着***名に限りご招待します」といった緩めの告知だったと想われる。
ラジオの呼びかけを聞いていなかった僕は、ミヨシの一言でここに来れた。
今思えば、この僥倖の機会をくれたミヨシに対して、なにかお礼をしたのか記憶が曖昧だ。
学食で「お礼にカレーでもおごるよ」と僕が言って「いいよオレはなんもしとらんけん」とミヨシが辞退したような気もするし、何もしていないかも知れない。
こうして2階席立ち見まで、客席は立錐の余地もなく埋まった。
QUEEN THE RHAPSODY TOUR 2024年2月14日
| 固定リンク | 0
「音楽」カテゴリの記事
- 終演時間を明示するのがさださんらしい^^)「さだまさしチャリティーコンサート 長崎から、能登へ!」(2024.08.22)
- 【最終話】いつの日か THE RHAPSODY TOURの公式ビデオを手に入れて、大音響で鳴らしたい(2024.06.26)
- 僕は「イニュエンドウ」当時、フレディとメンバーの苦悩を知らなかった(2024.06.22)
- 「愛にすべてを」で入る幸せスイッチ「自分の曲だ」と想える世に出た時に立ち合った曲(2024.06.16)
- アダムに親しみがわいた「手を取り合って」肩の力が抜けた「Tie Your Mother Down」(2024.06.12)
コメント