奇妙な千葉決戦
千葉決戦前日、佐世保の姉と話していた。
「12月2日にはプレーオフ決勝でもう1度フクアリに行くことになると想う」
5月に千葉ポートアリーナでヴェルカのB1昇格を見届けた僕らに「昇格」のイメージが既視感となって残った。あれ以来、秋にはダブル昇格を千葉で見届けることを夢見て、日々、頑張ってきたのだ。
ただ明日、V・ファーレンが勝つだけでは進めない。
「山形は宮城天が決めて、甲府はクリスティアーノの同点弾で引き分けが最高だね」
恐らく、同じような会話がV・ファーレンサポの間で、あるいは脳内で行われたことだろう。そして奇しくも現実はその通りに進んで行く。
2月下旬に始まったJ2リーグは9ヶ月の時を経て最終節を迎えている。
41節までにJ1昇格を決めたのは町田のみ。
残る2枠のうち「自動昇格枠」は清水、磐田、東京Vが勝ち点1差で争う。
「プレーオフ枠」は4枠中3つが埋まっており、残る1枠を甲府、山形、長崎が争う。
6位甲府は山形との直接対決に勝利すればプレーオフ進出。引き分けた場合、長崎が勝つと7位となる。
7位山形は甲府との直接対決に勝利すればプレーオフ進出。引き分けた場合、長崎の結果如何を問わず7位以下となる。
8位長崎は千葉に勝利し、山形 - 甲府戦が引き分けた場合、プレーオフ進出。引き分け以下では8位以下となる。
地力と他力、思惑と意地が絡み合う奇妙な1日、僕は総武線快速に乗って蘇我へ乗り込んだ。
前日までの予報では夜半から降り続いていた1mmの雨は10時頃には上がるはずだったが、蘇我駅に着いた時点ではまだ降り続いている。
10時の気温は9度。これがマラソン・レースの朝ならば「よし、もらった」と拳を握るところだが、今日は今年初めて「サッカー冬の装備」を仕込んで来た。
横断歩道を渡りフクアリの敷地に足を踏み入れると、先行入場と一般入場の待機列が伸びていた。
千葉は前節でプレーオフ進出を決めており、僕らからみれば余裕の立場だが、それでもサポーターが旬を迎えているチームの応援に駆けつける気持ちはわかる。
雨が降っているからと言って「今日はやめとこう」とならないのが、共に戦うサポーターというものだ。
長い長い列を横目にビジターゲートに歩を進めながら、初めて来た長崎の人があの列に並んでしまわないだろうかと考えていた。
4区画上下段があてがわれた「アウェイ自由席」は、ほぼ満席。どうやって買ったのかわからないが、左側のコーナー自由席を含めておよそ1,000人が応援にきた。関東アウェイ戦でこの結集は2021シーズンの東京ヴェルディ戦(味スタ)以来か。
試合後、秋野央樹が「応援が心強かった」と言った日。
口にはしなくても、密かに「僕らが勝たせた」と誇れた試合。
2023年11月12日(日) 13:00
J2リーグ【42節】
ジェフユナイテッド市原・千葉 - V・ファーレン長崎
フクダ電子アリーナ
<スタメン>
GK 波多野豪
DF 増山朝陽 櫛引一紀 白井陽貴 米田隼也
MF 澤田崇 カイオ 鍬先祐弥 マテウス マルコス
FW フアンマ
<ベンチ>
GK 原田岳
DF 高橋峻希 岡野洵
MF 名倉巧 松澤海人 中村慶太
FW ジョップセリンサリウ
<前半>
サッカー専用スタジアムのゴール裏から見るサッカーはやはり格別だ。
敵陣で起きていることが見づらいのは陸スタと変わらないが、自陣で起きていることのリアルさがたまらない
この光景が2025シーズンからは日常のものとなる長崎のサポーターが羨ましい。
12分
【千葉】 最初のCK 千葉の選手が2人波多野を前後から挟み動きを封じている。嫌な予感マックスで波多野コールをしていると見木友哉に押し込まれてしまった。フクアリだからと言ってあんなのアリなのか・・・
帰ってから映像をみるとドゥドゥが波多野をブロックしていた。VARがあればファウルをとってもらえたと想う。
ただ僕らは「正々道々」のチーム。判定に抗議しないV・ファーレン長崎の選手たちをサッカーの神様は見放さなかった。
勝っても勝ちじゃないという奇妙な試合に、不本意なカタチで先制されたやるせない気持ちを傍らに置いて、1,000人のゴール裏は歌い続ける。
15,201人に占める アウェイ比率は 6.5%
14.2倍の声に負けぬようそれぞれが、いつも以上に音を上げる工夫をこらして
その祈りが澤田崇に乗り移る
21分
【V長崎】 マルコスが裏へ通すナイスパス そういうのが見たかったんだマルちゃん するすると走り込んだ澤田崇が独走してゴールへ向かう 遠いサイドだが僕らにはGKと対峙した姿がくっきりと見える 澤田が右隅へコントロールする大仕事をやってのけて同点!
44分
【千葉】 裏に抜けた田中が前に出た波多野を交わし無人のゴールへシュート それを間一髪戻った白井陽貴が値千金のブロック! あれが入っていれば勝つことは難しくなっていただろう
去年9月【34節】フクアリが当時法政大学4年だった白井陽貴のプロデビュー戦(初出場初先発)54分に唯一の得点(決勝点)の起点になる自陣での見事なパス回しをみせ、守備ではクリーンシート。
今日の試合もドゥドゥのGKブロックによる得点がなければ無失点だった。
来季は持ち上がりパスの精度を上げて攻撃でも魅せてほしい
<ハーフタイム>
コンコースで目薬をさしていたら、志波さんが懇親会準備のためにフクアリを後にして、秋葉原の会場へと出発して行った。
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