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2024年2月19日 (月)

H3ロケットのRTF成り、夜ここに明ける。岡田匡史PMがみせたユーモアと笑顔

RTFはうまいこと踊る人達ではない^^;)
JAXAの岡田匡史PMが、H3ロケット1号機打ち上げ失敗後の会見で決意をもって使っていた言葉「Return To Flight」

H3ロケット2号機の機体に書かれた「RTF」の文字は、JAXAが募った応援メッセージの集合体で描画されている。


2024年2月17日
12:36
RTF(Return To Flight)成ったJAXAの会見が始まる。

【第一部】
冒頭、JAXA山川理事長が超小型衛星 CE-SAT-IE(Canon電子製)を軌道投入、VEP-4 の分離までミッションが成功したことを報告。

今枝文部副大臣は祝意を述べ、山川理事長を「大臣」と言い間違う興奮ぶりだった。

内閣府の風木事務局長は高市文部科学大臣の「新たな一歩、大きな飛躍」とするメッセージを紹介した。

H3ロケットの開発メーカー三菱重工(防衛・宇宙セグメント長)江口正之執行役員は、去年の失敗から今回の成功につながった経緯を紹介。「弊社の工場には3号機の機体が残っている。早く打ち上げたい」と述べた。


山川さんと江口さんの間にはH3ロケットの模型(目測80cmほど)が置かれている。
あれが欲しいと想ったファンも多いと想うが「H3ロケット1号機模型」全長30cmであれば、JAXA宇宙センターミュージアムショップ「UNiBO」のウェブサイトで販売されている(8,250円)


三菱重の江口役員に対しては、商業的につっこんだ質問が複数あった。
三菱重 江口役員
「宇宙事業現在の売上は500億円だが、2割 3割増やしていきたい」
「現状の生産能力5~6機/年を、8~10機に増やしていければいいと想う」
新たな生産拠点については
「(現行の愛知県)飛島村には敷地に余裕がある。周辺を拡張することは可能」
「国際的に競争力のある(打ち上げ)価格を目指す。(競合相手の)スペースXではすべての衛星を打ち上げきれない(そういった)ものも打ち上げていけば、価格は下げられる」


三菱重(7011)の株価は日経平均が最高値に迫った前日(2月16日)終値で11,000円。3月28日には「10分割」を控えている。
昨年(2023年3月7日)の失敗時、株価にはさほど影響がなかった(始値→終値 5109円→5078円 0.6%↓)
成功の場合、どう動くか興味深い。


【第二部】
待ってました!岡田匡史(おかだまさし)プロジェクトマネージャー
冒頭、アドリブでひとこと
「お待たせしました。ようやく産声を上げることができました」

■今日分離した衛星が(1号機失敗で失った)"だいち3号"だったらと想うか?
「あります」
岡田PMは神妙な面持ちで短く答えた。
重大自然災害を予見する精緻な観測ができる"だいち4号"の打ち上げが待たれる。

■次世代エンジニアに一言
岡田PM
「自分はこれまで4回失敗した。失敗はエンジニアを強くする。後は頼むぞという気持ち」

■(子供たちへ)ロケット開発の難しさ
岡田PM
「やり直しがきかない。難しいからこそ成功させる喜びを感じる。好きなら乗り越えられる」

三菱重工(MHI) 新津真行H3プロジェクトマネージャー
「ロケット開発は五輪の100m走に似ている。勝負は一瞬で終わる。その一瞬のために長い時間を費やす。H3ロケットは10年かかった。仲間とともに成し遂げる喜びは何事にも代えがたい」

■民生品の採用はどうだったか?
新津PM
「大胆に民政部品を取り入れた。問題なく作動している。信頼性を確保しつつコストを下げることを達成できた」

■30型について確証は得られたか?
岡田PM
「まだデータを見ていないが、予定軌道のど真ん中を飛んでいる」

*30型:H3-30コンフィギュレーション
・LE-9エンジン3基・固体ロケットブースタ(SRB)なしの構成
・H3ロケット2号機はSRBを搭載せず、3基のLE-9エンジンのみで打ち上げられる

■これは成功とは言わないのか?
岡田PM
「成功か失敗かという質問でいいか?」
と再確認したうえで
「こういう質問が来ると思っていた。成功しました」
笑顔で言い切った^^)

心ない質問に言葉を失った日から1年
岡田さんのいたずらっぽい笑顔に笑った。


2023年
3月 H3ロケット(人工衛星軌道投入)失敗
4月 ispace (民間初)月面着陸失敗
   ↓↓
2024年
1月 SLIM 月面着陸成功(日本は5カ国め)
2月 H3ロケット(人工衛星軌道投入)成功

失敗は未来の糧となる
成功はやはり心が晴れる

昨年"延期"後の会見で「朝焼けの前は暗い」と語り、不屈の闘志をみせた岡田匡史さんとH3ロケットに携わる人々にとっての夜がここに明けた。

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