SLIM H3ロケット 日本のロケット団は成功ラッシュ しらべるが選ぶ2023年の5大ニュース【4】
一年前の昨年末、僕は「2023年の5大ニュース」でこう書いた。
「失敗は成功の母」とトーマス・エジソンは言っている。
心ある人は、失敗から立ち上がる姿に共感する。
それが同じ国の人ならば、なおさらだ。
2024年は日本の宇宙事業が「成功」ラッシュとなることを祈る。
2023年は「「HAKUTO-R(ispace)の月面着陸失敗」「H3ロケット打上げ失敗」と日本の宇宙事業に「失敗」が続いたが、2024年は一転して日本の宇宙事業に「成功」が続いた。
■「H2Aロケット」48号機打ち上げ成功
2024年1月12日
当初の予定を1日延期して「H2Aロケット」の打上げが成功した。
唯一の失敗(2003年 6号機)以外はすべて成功という「安定のH2A」振りをロケット団は喜んだ。
■小型月着陸実証機(SLIM)月面着陸成功
2024年1月20日
「SLIM」は日本で初めて月面着陸を成功させた実証実験。
日本は月面着陸を成功させた世界で5番めの国となった。
1959年 ソビエト連邦 ルナ2号
1969年 米国 アポロ11号 *有人
2013年 中国中国 嫦娥3号
2023年 インド チャンドラヤーン3号
2024年 日本 SLIM
□SLIM 時系列の記録
2019年
着陸予定のクレーターを「SHIORI」と命名して国際天文連合に申請し承認された
2023年9月7日午前8時42分11秒
鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット47号機で打ち上げられた
2023年12月25日
軌道修正を行い、月の周回軌道に入った
2024年1月19日22時40分頃
軌道高度の変更開始
2024年1月20日
0:00 着陸降下開始
0:20 月面(クレーターSHIORI内)着陸成功
SLIMは最高110度~最低-170度になる月の環境変化に耐える設計ではないにも関わらず「月の昼」を迎え電源を得るとシステムが再起動。3度の「越夜」に成功して僕らを驚かせた。
●2024年2月22日
米国民間企業 インテュイティブ・マシンズの無人月着陸船「ノバC」が月の南極域に着陸。
2023年に日本の ispace が逃した「民間企業による世界初の月面着陸」の称号を手に入れた。
*南極域への着陸はインド「チャンドラヤーン3号」に続く2度めの成功
■「H2Aロケット」49号機打ち上げ成功
2024年9月26日
夜間・悪天候でも撮影できる政府の情報収集衛星「レーダ8号機」を無事起動に投入した。
「H2A」最終便となる50号機は10月1日に種子島宇宙センターに搬入されており、2024年度中(2025年3月まで)の打上げが予定されている。
■「H3ロケット」打上げ成功
ロケット団が待ちに待ったH3ロケットミッション達成の日が訪れた。
□H3ロケット 時系列の記録
2014年
開発スタート
2020年度
当初の初号機打ち上げ予定を延期(メインエンジンの開発が難航)
2023年2月17日
「H3ロケット試験機1号機」打ち上げ失敗
先進光学衛星「だいち3号」が失われた
2024年2月17日
「H3ロケット」2号機打ち上げ成功
2024年7月1日
「H3ロケット」3号機打ち上げ成功
先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」を軌道投入
2024年11月4日
「H3ロケット」4号機打ち上げ成功
防衛省の通信衛星「きらめき3号」を軌道投入
「H3ロケット」は2月の初成功から3連続成功。2025年で役割を終える「H2Aロケット」に替わる「運用機」が間に合った。
2025年1月には 月面着陸、月面探査をめざす ispace「HAKUTO-R」ミッション2 の打上げが予定されている。
着陸まであとわずかで失敗したミッション1から2年。今度こそ袴田武史CEOとispaceの皆さんの笑顔が見たい。
「失敗は成功の母」とトーマス・エジソンは言っている。
2023年H3ロケット打ち上げ失敗時、岡田匡史PM(その後、宇宙輸送技術部門長)はこう言った。
「闇は夜明け前が一番暗い」
| 固定リンク | 0
「ビジネス」カテゴリの記事
- SLIM H3ロケット 日本のロケット団は成功ラッシュ しらべるが選ぶ2023年の5大ニュース【4】(2024.12.31)
- 「速度が落ちていますよ」とびびらせる小谷E 安全・生存へ大いなる一歩! H3ロケット3号機 だいち4号の軌道投入に「成功」(2024.07.02)
- H3ロケットのRTF成り、夜ここに明ける。岡田匡史PMがみせたユーモアと笑顔(2024.02.19)
- 「それは一般に失敗と言います」から1年 H3ロケット2号機が打ち上がる(2024.02.18)
- インボイス制度運用開始 しらべるが選ぶ2023年の5大ニュース【5】(2024.01.05)