Bluetoothの無線化で古い有線スピーカーの寿命が延びた
かつてオーディオファンだった高校生の僕は佐世保のベスト電器やオーディオ山内で立派なスピーカーが、ずしんとした低音を鳴らすのを聴いて、大人になったら家を建てて防音設備のオーディオルームで立派なスピーカーを置きたいと夢見ていた。
大きい音を鳴らすことがオーディオファンの王道と考えていた僕は、家にあったSONYのステレオでボリュームを2時くらいまで上げて「QUEENⅡ」を聴いていると警察が来て苦情を言われはしなかったが、帰宅した姉がとんできて「あんた、なに考えてるの」と諭された^^)
時は流れて都会のすみっコぐらしとなり、とうに防音オーディオルームを諦めていた僕は、2015年のある日秋葉原で出会った「BOSE M2」というPC用小型スピーカーにひと目惚れして即ゲットした。
「スピーカーは小さくなればなるほど、自然な音を発する"点音源"に近づく」という理論でコンピューターモニターとして研究開発されたM2は、近所迷惑にならない音で聴いても「いい音だな」と想わせてくれた。
手持ちの4,000曲でもう1度、4,000回の感動ができるスピーカー
しらべるではM2をこう定義した。それまで何百回と聴いてきた曲でも「こんな楽器が隠れていたのか」という発見があったからだ。
その感動も薄れていた8年後、僕の音楽生活は大きく変わっていた。
かつて音楽はCDをPCに録音した曲をM2につないできいていた。時は流れApple Musicで聴くようになってからは、パソコンよりもiPhoneで聴く機会が増えた。パソコン版iTunesの使い勝手はiPhoneの音楽アプリに遠く及ばないからだ。
だが iPhone、iPADといったデバイスから鳴らす音楽はステレオミニジャックで入力するM2につながらない。
そこで、Bluetooth入力スピーカーへの買い換えを検討したが、なかなかM2のようにコンパクトな筐体のモノがない。
筐体が小さいものもあるにはあったが、音響メーカー品ではなく音は期待できそうになかった。
2024年4月、転機が訪れる。
もしかすると「ミニプラグ端子に出力できるBluetooth受信機」なるものが世の中に出ているのではないか?
ふと考えて「Google先生」に尋ねてみると確かに存在していた。
■Bluetoothオーディオトランスミッター
メーカー:サンワダイレクト
品番:400-BTAD008
価格:6,280円(当時)
「トランスミッター」と聞いただけで「やめてやめて、そんな使えないモノ」とそれまでの僕は想っていたが、それは「FMトランスミッター」のこと。かつてFM電波で発信してFMラジオで受信するという機械をカーステレオで試した時「時代が30年前に戻ったか」と想うような音だった。
一方、Bluetoothで飛ばす音はど素人の僕には有線でつないでいる音との違いがわからない。まったく問題ない。
セッティングは400-BTAD008をM2とミニプラグのケーブルで接続するだけ。
あとはパソコン、複数のiPhone、iPADとその時、都合のいいデバイスでApple Musicを流せば M2で鳴ってくれる。
9年前のように「手持ちの4,000曲でもう1度、4,000回の感動ができる」とは想わなかったが、今も大好きなM2を買い換えることなく延命できた。
環境基本法では人の健康の保護に資する基準として音圧を「昼間は55dB以下、夜間は45dB以下」としている。
防音設備のオーディオルームでもない限り、現代社会では家庭で爆音を楽しむことは難しい。
ささやかな音でこそいい音が楽しめるM2の存在は実にありがたい。
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