見たこともないスポーツの神髄「THE DAY」井上尚弥 - 中谷潤人
4月下旬、LeminoでPPVを購入した。
6,050円(当日より1,500円ほど安い)
ポイントが少し残っていたので支払に充当した。
恐らく、昨年末の試合でPPVを買った時のものだろう。
5月1日
試合前日
緊張が高まってきたので、一旦試合のことは忘れることにした
重圧を感じるのはリングに上がる2人の仕事であり、僕が感じることではないが、この重圧は、試合後に井上尚弥がリング上で言ったように多くのファンが感じていたらしい。
見ず知らずの外国籍選手が相手ならば「万が一負けたらどうしよう」とシンプルな懸念で済むが、この試合ではそこのところが微妙だ。
5月2日
15:00 開演
Fire TVでLeminoアプリを起動して画面を開き、そのまま放置。B.LEAGUE最終節を見て極力忘れることにする。
19:30
そろそろ始まるだろうかと、画面を開いてみるがまだまだ先
XのLeminoアカウントに進行状況がアップされていたので、数分おきにチェックするが第7試合まではまだ時間がある(この日は第6試合まですべてが判定決着だった)
[6時間31分]
これが8時間を超えるLemino見逃し配信動画で第7試合映像が始まるタイムスタンプ。
22:50
ようやく、試合の時刻
中谷潤人が笑顔を見せている。落ち着き払っていて表情にゆとりがある。
泰然自若。それは自信?開き直り?
布袋寅泰が「バトル・オブ・モンスター*」をかき鳴らす中、井上尚弥が入場。表情が険しい。ただ、これはいつも通り。
*映画『キル・ビル』のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」をアレンジ
32戦無敗、PFP(井上2位・中谷6位)ランカーの日本人が直接対戦するなんて「もったいない」
子どもの頃から「いま、日本人世界王者は何人かな」と指折り数えて育った僕はそう想う。数字が「5」だと嬉しかったし「3」になると寂しかった。大場選手が交通事故で亡くなった時は実に哀しかった。
父がボクシング経験者で、ボクシング世界戦だけは20時を過ぎても居間でテレビを見ることが黙認されていて「ボクシングがある」日は年に何度かの特別な日だった。
いつもは楽しみだが、今日だけは「見てはいけないもの」を見る想い。
政治ジャーナリスト今野忍さんは「正座して見る」と言っていた。その気持ちよくわかる。
<1R>
山内涼太(2022年4月9日)との対戦で初回から猛ラッシュをかけた中谷潤人。今日は手数少なく左カウンター(ビッグバン)を狙っている
中谷の黄色い靴(右足)と尚弥の黒い靴(左足)が近い。足を踏んでしまいそうでやりづらい
終了のゴングが鳴り両者がグローブを合わせ笑顔で分かれる。こんな、清々しくフェアなボクシング見たことない
<3R>
終了間際に両者の頭が当たる 互いにはっとして相手を気遣い、手を合わせて分かれる
<6R>
半分終わったことにほっとする。早く無難に終わってほしい
<7R>
中谷が攻勢に転じる
<8R>
中谷が前に出て井上をロープに詰める 激しい打ち合い 本来ならば喜ぶ場面だがヒヤヒヤして見ていられない 井上がカウンターを入れると2人が笑い合う 後から見返す度、この笑顔に心洗われた。井上の左眼の下に痣ができている
<9R>
中谷が1-2-3と打ち込むが井上はしっかりガード 試合後、井上は「リードしているとわかっていた。ポイントを譲ってもいいと想っていた」と語る
コーナーに戻った姿は中谷のほうに余裕を感じる
<10R>
中谷のいいパンチが入り井上のフットワークが乱れている
偶然のバッティングで中谷が眉間に出血 ドクターチェックを受けたがすぐに再開
<11R>
井上が再び攻勢 中谷が左ガードを上げる 中谷が再び流血 実況は「左眼が開いていない」という。この時「血が目に入って見えないのだろう」と想っていたが、翌日の日刊スポーツは「左眼窩底骨折の疑い」と報じた
<12R>
1:22 時計を見る井上 ガードを下げて誘う余裕も出る もう倒しにいくつもりはなさそう
ゴングが鳴り抱き合う2人「ありがとう」「ありがとうございました」こんな清々しいボクシングは初めてかも知れない
<試合後>
中谷潤人
「怪我は少しありますが、しっかり治してまた戦います」
怪我はバッティングに拠るものかと問われ「パンチです」と答えた
会見は5分に留めて、検査のため病院に向かった
5月3日
中谷潤人陣営が発表。CT検査の結果「異常なし」「選手生命に関わるほどのことではない」とのことで、大いに安堵した
次なる井上尚弥と中谷潤人の戦いが楽しみだ。
数日後、振り返った時、1つのカタチで括れないぼんやりした感覚が残っていた。
サッカーでもバスケでもボクシングでも、試合が終われば互いが握手する。
だが、試合の最中は「なんだ、このやろう」と詰ったり、審判の見ていないところで小突いたりする。ボクシングの場合、手を出していいので(そういう競技なので)より感情が高ぶる。
ところが、井上尚弥と中谷潤人は試合中に笑い合った。
「自分は絶対倒れない」という自信を礎に、フェアプレー精神で技術と技術で戦う「スポーツの神髄」がそこにあった。
汚いとかずるいとか贔屓だとか、本来あってはならないものがスポーツには現存する。「それも含めてサッカーだ」と言う人もいる。そういった人々が慣れ親しみ、諦めているスポーツの美しさが、あの日リング上にあった。
The day the essence of sports was in the ring.
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