2020年5月23日 (土)

音楽の先生が貸してくれた「断絶」

中学校に上がって音楽と出会う。
それまでもフォーリーブス、スパイダース、Pygといったグループのレコードは持っていたが、おこづかいには限りがある。
保有している音源はとても少なく、たまにステレオで聴き、歌詞カードを見ながら歌う程度だった。

その日、音楽の授業が終わり、音楽室から教室に戻ろうとした時、音楽の立岡先生に声をかけられた。
「moto君、ようすい聴いたことある?」
その名前が、かすかに記憶に引っ掛かった。
確か、従姉妹のアツコちゃんが言っていた人だ。

僕が親戚の家に遊びに行くと、彼女はその時"はまっている"音楽について、僕を啓蒙する習慣があった。
ある時はディープパープル、ある時は南こうせつ、そして、その日は陽水。

「満員電車で床に倒れた老婆が笑うとってよ、詩のすごかろ~」
と言って、彼女はその秀逸さを力説した。
なんじゃ、そりゃと思ったが、尋常ではない人だということは伝わり、その違和感が記憶に残った。
(ディープパープルについて、何を説得されたかは覚えていない)


立岡先生から「家にステレオあるとよね?これ貸してあげるけん」といって手渡されたLPのジャケットには階段に座ったアフロ青年。タイトルは「断絶」とあった。
なぜ、学校に私物のレコードを持って来ているのか、それを生徒の僕に貸そうとするのか意味不明だったが、せっかくのご厚意なので僕は快く借り受けた。

今思えば、自宅にステレオセットがある家というのは、他にはあまりなかったのだろう。もしかすると、この記憶は僕のねつ造で、僕の方からレコードの貸与を要請したのかも知れない。
もう会うこともないから、いいだろう(笑)


「音楽」と出会った。
まとまった音楽という形に出会い、それが、習慣になるきっかけは陽水だった。
とここで、陽水について語りたいところだが、本題から逸れるので、後日の巻として、ラジカセの話しに戻る。


それまで僕の音楽習慣は、レコードをターンテーブルに乗せて盤面を傷つけぬよう慎重に針を落とし、聞き終えたら元の袋に仕舞うだけのものだった。
初めて借りて来たレコード。借りたものは返さなければならない。いずれ、聴くことはできなくなる。
この音楽を手元に残したい。されど、方法がない。
後に少々の知識を得た後ならば、ステレオのヘッドホン端子に変換アダプターを挿し、ミニプラグのコードでテレコにつないで録音するという手段を思いついただろう。

「断絶」を盤面に傷つけることなく、立岡先生に返すことができて、ほっとする反面、また聴きたい、もっと聴いていたいという思いが募った。

つづく

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2020年4月10日 (金)

佐野さんがソーシャルディスタンスで新曲を公開!

いつも通りGoogle news をチェックしていると、佐野さんの新曲情報があがっている。

■新曲「この道」(Social Distancing Version) 4月8日夜9時プレミア公開
どうやら、新曲はネット配信。しかも無料

日本政府から新型コロナウイルス感染症についての緊急事態宣言が出るなか「いつもの佐野さんだ」というのが最初の印象だった。

過去には阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、同時多発テロ、東日本大震災・・人々が苦境に立った時、彼は音楽家の使命として、音楽や言論あるいは暖かい励ましの言葉を発信してきた。


「9.11」米国同時多発テロが起きた一週間後の9月18日。
佐野さんがテロの夜に書き、プライベートスタジオで録音した「The light」が一週間(2001年9月18日21:00~9月25日)公式ウェブサイト「Moto's Web Server」で無償提供された。
当時まだ音楽配信は一般的ではなく、ましてや音楽家が無償で楽曲を公開することはなかったので驚いた。
そして、僕らは「佐野さんらしい」と思った。


時は流れ、音楽家が無償で社会に貢献することは珍しくはなくなった。
そんな中での無償配信
情報を詳しくチェックすると、そこに"佐野さんらしい"ことが書かれている


Moto's Web Serverより引用)

佐野元春のコメント:

外出を控え、距離を保ち、健康に気をつけて、支えあう。
たとえ離れていても絆は壊れない。僕はそう思っている。

この曲は、コヨーテバンドのみんなそれぞれの自宅で、インターネットを介してマルチレコーディングをした。
映像はみんなそれぞれに自撮りをした。僕たちはこの作業を、一切誰にも会うことなくそれぞれの自宅で進めた。

(引用ここまで)


4月8日、お釈迦様誕生日・灌仏会の夜 21:00
リリースの時間にパソコンの前で待ち構えていた
右ペインではオンライン・リスナーのtweetがタイムラインで高速に流れていく。
1,837人が視聴中と表示されている。


マルチスクリーンの中央に佐野さん
左右に3人ずつCOYOTE BANDのメンバー
これは最近、仕事でも見慣れたテレビ会議(board meeting)の情景だ
お、佐野さんのフレームには犬が映っているぞ^^;)
(仲間のtweetによると、ZOOEY君らしい)


これはまだ誰もやったことないだろう
どうだ!
僕が威張ることじゃないけれど、嬉しい


副題の(Social Distancing Version) が素敵だ。
ソーシャルディスタンス
感染を防ぐためにとる人と人との間隔(2m)

1980年、アンジェリーナでデビューした佐野さんは今年デビュー40周年
松田聖子と同期
(ちなみに「ハートのイヤリング」は佐野さんが提供)
今はこうして互いに2mの距離をとっているが、三密(密閉、密集、密接)の場所で、アニバーサリーイヤーの佐野さんに会う日が待ち遠しい。

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2020年1月 6日 (月)

2020年は、LOVE PSYCHEDELICO 20周年

最終話
2019年9月24日(火)
EX THEATER ROPPONGIPremium Acoustic Live “TWO OF US"

いつものロック・ライブではどうなのだろう?
誰かに意見を聞きたい。
しかし、家に帰って「教えてくー」に聞いても、説教されるのがオチだ。
その答えを持っている人は今、ここで駅に向かって歩いている人達だ。

「すみません。僕は今日初めてデリコのライブに来たのですが、いつものライブも今日みたいに曲によっては手拍子を打たず、静かに聴き入っているのですか?」

誰かを呼び止めて、聞いてみたいという衝動に駆られたが、実行には移さなかった。
それは、いつか、自分が「ロック・デリコ」に行った時、この目で知ることにしよう。

2020年はデリコ20周年のライブを見たい。
普通の立って歌うロックコンサートも見たい。
今日は「Everybody needs somebody」が聞けなかったからね
KUMIはその時は楽器を演るのだろうか
「デリコの聴衆」たちはどう動くのだろう


翌日、NAOKIがtweetした
「昨夜東京公演初日、素敵な時間をありがとうございました。
演奏に深く集中することが出来た貴重な体験、オーディエンスの皆さんに感謝します。
楽しかった!」

僕が感じていた「デリコの聴衆」の特別な素晴らしさを、彼も感じていたと知って嬉しかった。

 

ライブからおよそ3か月後
あれだけ話題になった令和も、いつもの年の瀬と同じように暮れようとしていた12月13日。
LOVE PSYCHEDELICOの20周年関連ニュースがリリースされた。

■テレビ放送
2020年1月25日19:00
日テレプラス(CS放送)
「LOVE PSYCHEDELICO 20TH ANIIV. EDITORIAL CONCERTS」

■ライブ出演
2020年2月8日
LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
「新日本製薬 presents SONGS&FRIENDS」
※佐野元春「Cafe Bohemia」再現コンサート

2020年4月25日-26日
仙台市みちのく公園北地区エコキャンプみちのく
「ARABAKI ROCK FES」

■発売
2020年3月25日

【1】全シングルを集めた4枚組CD
「Complete Singles 2000-2019」

【2】東京・EX THEATER ROPPONGI公演を収録した映像作品
「Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019 at EX THEATER ROPPONGI」

【3】「“TWO OF US” Acoustic Session Recording at VICTOR STUDIO 302」のアナログレコード

【4】【1】【2】【3】と「譜面集」「特製トートバッグ」のBOXセット
「20th Anniversary Special Box」

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

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2020年1月 5日 (日)

これ以上のものはない LOVE PSYCHEDELICO2人きりのライブ

2019年9月24日(火)
EX THEATER ROPPONGIPremium Acoustic Live “TWO OF US"

「これはいいですよ。ブルーレイ!初めはリハでビクタースタジオに入ったんだけど、スタジオだから、録音しちゃう?カメラも回す?ってなって、極めつけは"1日でアルバムができる"という言葉に騙された。だって、いつもアルバム1枚には4年とかかかっていたからね。でも、ミックスダウンがあることに気づいて、数週間、スタジオにこもってました(笑)」

NAOKIのセールストークが終わったのを見計らい、KUMIさんが着替えなしで登場(楽屋が遠いから?)

Encore
「Shadow behind」
ここでも、聴衆は立ち上がり、投げ釣りポーズを繰り広げる

「Calling You」
LOVE PSYCHEDELICOは カッコイイのだ こんなにも
どうやって、この見事に日本語と英語を混ぜた歌詞を掘り起こしているのだろう。

「Sally」
終焉の空気が漂うなか、KUMIはギターを床に下ろす
今日初めて、最後は歌に専念するようだ

KUMI
「私のお腹に子どもが居た時、NAOKIさんがプレゼントしてくれました」

この曲はライブの数日前まで知らなかった。
2018年12月8日に配信されたクリスマスソング。
257円で即ゲットして短期特訓してきたので、しっかりと曲調も歌詞も頭に入っている。

アコギ、エレクトリックギター、マンドリン、ブズーキー、ラップスティール、エレクトリックベース
いろいろな楽器を2人で分担して使いこなし、それを最強のスピーカーで鳴らして、2人だけのライブは完結した。
これ以上のものはないな
僕はそう感じていた

KUMIは、名残を惜しむような予定調和な素振りはみせず、さっさと袖に消えて行った。
いいね、潔くて、あっさりしていて


21:15 終演
六本木の駅に向かう人の波は思いのほか、年齢層が低かった。
立たない、手拍子しない、ライブの本質を理解した最高の聴衆たち。
今日、数時間を共にした「デリコの聴衆」たちに僕は驚きを禁じ得ない。

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

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2020年1月 4日 (土)

高田明のように売り込むNAOKI(LOVE PSYCHEDELICO)

【4】
2019年9月24日(火)
EX THEATER ROPPONGIPremium Acoustic Live “TWO OF US"

KUMI
「20年もこうして歌い続けられているとは想像もできなかった。幸せな人生です。この曲はみんなと私たちを繋げてくれるきっかけになった曲かもしれない」

「Your song」
2000年にデビューしたLOVE PSYCHEDELICOは、来年20周年を迎える。
♪悲しみが呼んでる
とKUMIは歌う
僕にはこの20年ずっと「悲しみが夜のルール」と聞こえていた。
今日はKUMIの言葉がしっかり聞き取れる。
それは、次の3つの要因が揃っているからだ。
1,彼女がしっかり歌っている(声が出ている)
2,聴衆が静かに聴いている
3,最強のスピーカーで鳴らしている

「Lady Madonna ~憂鬱なるスパイダー~
2000年に出た1stアルバム、1曲目の曲
Youtubeに上がっているライブハウスでのライブで、踊りながら歌うKUMIは愉しげだ。
歌詞を見ながら聴くと、これまで以上にとても好きになった。


20:50 本編終演

拍手だけのアンコール・リクエスト
誰一人「あんこーるっ」と叫んだりしない
客電が落ちたまま、ステージではLEDライトを首から提げたローディ、セッティングに余念が無い。

そう長くない間合いでNAOKIが一人で登場
肩にツアーグッズらしきトートバッグを掛けている。
くるな・・

NAOKI
「ここで事務所の回し者をさせていただきます」
予想どおり、今回のツアーグッズを紹介。思いの外品数が多い。それだけ売れるということであり、支持者が多いということだろう。
「着て来ようと思ったんですけど、この会場は楽屋が遠いから」
ツアーTシャツを一枚ずつ広げて紹介する。

「ラブサイケデリコ!って入っていると恥ずかしいでしょ?」
彼はLOVE PSYCHEDELICOのロゴが小さい、または入っていないことを訴求する。
だが、僕が買うならば「TWO OF US」でビートルズのTシャツ?に間違われるよりは、どーんとLOVE PSYCHEDELICOと入れて欲しい。
これを着て街を歩いたり、駒沢を走っている時、ファンが見つけて「あ "TWO OF US" 行ったんですか?」って声を掛けたくなるくらいに(実際、そんな人はいないが)

セールスの最後はブルーレイ「“TWO OF US”Acoustic Session Recording at VICTOR STUDIO 302」
2019年5月26日(日)発売

トートバッグからこの一品を取り出した時「どうしてもこれを売りたい」とNAOKIの目が光った。
高田明かと想った。

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

 

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2020年1月 3日 (金)

LOVE PSYCHEDELICOのライブでもついに、投げ釣りのポーズ

2019年9月24日(火)
EX THEATER ROPPONGIPremium Acoustic Live “TWO OF US"

「Last smile」
後日、Youtubeでこの曲の屋外ライブを聴いてみた
KUMIはとても歌いづらそうだった
声が出ていないようでもある
恐らく、音がとれない。反響が悪いなどの理由だろう。
従って、この日、この会場で歌うKUMIはベストに近い
気持ちよく歌えたのではないか


「neverland」
「LOVE PSYCHEDELICOⅢ」に収録されている曲だが、僕はこの曲を映画館で初めて聴いた。

「ホテルビーナス」は草彅剛主演、2004年春 松竹が公開した映画。ロケ地ウラジオストック、全編大韓民国語、日韓名優の配役、絶妙な音楽、質の高いポップアートでありドラマでもある。
原作は天才麻生哲朗の「ビーナスブレンド」角川書店 2004年3月
映画は原作の麻生哲朗ワールドを違和感なく再現している。

オリジナルサウンドトラック「THE HOTEL VENUS」には、主題歌のハードロックナンバー LOVE PSYCHEDELICOの「Everybody needs somebody」、Left aloneを思わせるブルース BLOSSOM DEARIE の「SOMEONE TO WATCH OVER ME」など劇中の大半の音源が収録される。

劇中ではLOVE PSYCHEDELICOの次の4曲が使用された。
( )内はLOVE PSYCHEDELICOの収録アルバム。

Everybody needs somebody(LOVE PSYCHEDELICO III)
These days(THE GREATEST HITS)*
neverland(LOVE PSYCHEDELICO III)
A DAY FOR YOU(THE GREATEST HITS)*
*印は「THE HOTEL VENUS」には収録されていない


「waltz」
アコースティックライブならば、これだけは聴きたかった曲。
♪今最愛の君よグッバイ
その切ない歌詞の世界を想う
最愛の人との別れ、言ってしまえば一種の短い言葉だが、具体的に想像すると途方に暮れてしまう。
日本語と英語を巧みに組み合わせると、その切なさがぼやけて見える。だから、さらりと聞き流せるのかも知れない。


「裸の王様」
ここで、オールシッティングだった聴衆が立ちあがる。
僕もそれに倣う。ステージの2人が見えなくなるからではなく、standing ovationとして。
そして、始まったのが「投げ釣りポーズ」
うーんこれは・・

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

 

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2019年12月16日 (月)

さだまさしをめざして13分間しゃべるNAOKI(LOVE PSYCHEDELICO)

2019年9月24日(火)
EX THEATER ROPPONGIPremium Acoustic Live “TWO OF US"

「It's Ok,I'm Alright」
双眼鏡でKUMIの歌顔を見る
そういえば、さっきから彼女はずっと座って歌っている(この日1度も立って歌わなかった)
よく、座って歌って声が出るなぁ
僕ならば腹筋を使って歌うために必ず立つ。そうしないと喉を傷めそうだ。
スナックのカウンターでも立つので、店の女の子から「立たんでいいよ」と言われたりもする。

「Favorite moment」

前列斜め前に体の大きいおじさんがいる。
この会場はひな壇の傾斜がきついので、前にそこそこ座高が高い人が座っても見えないということはないのだが、そのおじさんが隣の席まではみ出して座っているのが気になる。
小さいことが気になるのが、僕の悪いクセ

隣のお姉さんは一人でやって来たので、このおじさんと肩を寄せ合う仲ではないはず。それでもおじさんは容赦なく彼女にのし掛かるように身体を押しつけており、彼女は座席の左半分に追いやられている。
彼女はきっと不愉快だろうな、今頃
せっかくのこの素晴らしいライブが台無しだろう
よっぽど僕がひとこと言ってやろうかと思ったが、出しゃばりで失敗するのも悪いクセなので、思いとどまる。


KUMIに「一曲歌いますか?」と促される
NAOKI「歌っていいですか?」
聴衆が拍手

NAOKIは「さだまさしを目指してる」と言い、19:50から13分間にわたり話しつづけた。
ゆふいんの森号に乗ったエピソードは、いったい何が言いたいのか分からなかった(笑)

Stand by me(NAOKI)
「全員が(コーラスを)歌うまで止めませんからね(歌わせたことを)後悔しますよ」
しかしその割りには、聴衆は歌わない。
Sing along にはほど遠い。
それでも、NAOKIは煽ったりせず、あっさり許してくれた。
いわゆる、お約束、予定調和はここでも行われない。

NAOKIの歌声は「どの曲を歌っても全部同じに聞こえる声質がいいだけの歌手」とは違う。
息づかい、節回し、間合い、どれもがNAOKIの歌だ。
世間一般の人々は、それを「味のある歌」というだろう。


そして、ここからは、泣く子も黙る「本気出しますよコーナー」に入っていく。
それまでのおちゃらけて、ちょっと停滞したムードを払拭して、ほら、これがLOVE PSYCHEDELICOでしょ?というような。

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

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2019年12月15日 (日)

鳴らせるパワーアンプがない最強のスピーカー

2019年9月24日(火)
EX THEATER ROPPONGIPremium Acoustic Live “TWO OF US"

NAOKIがPAを紹介する
「今回のツアーに合わせてスピーカーを作ってもらった。恐らく現時点における世界最高のスペック。ただ、これを(フルスペックで)鳴らせるパワーアンプがない」

道理で開演前のBGMで「アコースティックギターがきゅっきゅっと鳴って」いると思えたのだ。


4曲めはお待ちかねの「I saw you in the rainbow」

この曲はこの数日、予習セットリストで30回以上は聴いた。
ここで、僕は双眼鏡を取り出す。
♪over the rainbow のところをKUMIがどんな表情で歌うのかを知りたくて

イノセントに歌う泰造(ネプチューン)かと思った^^;)

僕は今この瞬間、別の何かを見ている
2004年に知ったLOVE PSYCHEDELICO、僕はレコードは聴いていたが、映像でKUMIやNAOKIを確認していなかった。
これまでずっと、僕の脳内に居るKUMIは「アンルイス」が「六本木心中」を歌っているようなイメージだった。恐らくアルバムジャケットに使われたイラストを見て、それがすり込まれたのだろう。

しかし目の前に居る人は別人だ
たとえば、吉岡聖恵(いきものがかり)のような
たとえば、鈴木杏樹のような(相棒「花の里」の女将)
あるいは、江角マキコのような・・

「ジョブスです」
NAOKIが立ち上がり、MCを始める
某オークションで買ったという「リズムボックス君(リズムアレンジャー)」を紹介。
リズムボックス君が鳴り始める
スピーカーが強いだけに、こんな大きな音で大丈夫?と心配になる。
しかし、クミが歌い始めたら全ての音が消えて、彼女の声だけが残った

強い

「Hit the road」
リズムボックス君、途中から音が走り始めるかもとNAOKIは言っていたが、特にそのようなことはなかった。

「Rain」
聴衆の拍手にKUMIが「てんきゅー」と短く言い、少しだけストローから給水してすぐ次の曲へ。ライブは続いていく

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

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2019年9月29日 (日)

僕は「デリコの聴衆」にとても、驚いた。

客電がおちた
そこに二人の人影
時計を見る 19:03
Jリーグかと思った^^;)
設えた椅子に腰掛けると、KUMIが短く挨拶して演奏を始める

「123」
2017年リリース、現時点では最新アルバム「LOVE YOUR LOVE」より

原曲通り、アコースティックギターのイントロが、いきなり洪水のように場内を包む。
そこにKUMIが唄い始めると、さっきまで場内に充満していた音は、彼女の声に道を空ける。

聴衆は立たない よしっいいぞ!
聴衆は手拍子しない おぉ、いいじゃないか

今日のライブで、僕が存分に音楽の力に浸ることができたのは、この2行に記した要因に尽きる。
最高の聴衆だ

簡単にいえば「音楽がわかっている」
これは、欧州サッカーファンが、欧州の観客を評して言う時の「サッカーがわかっている」というニュアンスに近い。
彼らは基本的に静かに戦況を見守り、キラリと光るプレーに拍手を、頂けないプレーには敵味方に拠らずブーイングする。

試合の間、飛び跳ねて、歌って、相手のバックパスにブーイングして・・
それが、楽しいことは否定しない
実際、僕はV・ファーレン長崎が関東にやって来た試合のゴール裏でそうしている。

しかし、一般的に考えれば、戦況が俯瞰できるメインまたはバックスタンドで座ってじっくり見た方が、サッカーを楽しめることは自明だ。

さて、ここ「デリコの聴衆」は静かにKUMIとNAOKIの演奏に聴き入っている。
手拍子がない方が、音が澄んでいて、彼らの音楽が混じりけの無い清音で耳に届く。
しかし、これまでに見聞きしたコンサートでは、例外なく「お約束」「予定調和」の拍手があったし、これに「総立ち」「一斉投げ釣りポーズ(後述)」がセットで付いてくることもしばしば。
全体主義に洗脳されたかのように、皆で同じことをする聴衆には、疑念を禁じ得なかった。


てんきゅーとKUMIが短く言ってすぐ次の曲へ
「Birdie」
同じくアルバム「LOVE YOUR LOVE」より

「Hello」
2004年アルバム「LOVE PSYCHEDELICOⅢ」より
ここまで、決してスローバラードが続いたわけではないが、聴衆は微動だにしない。どうやら、今日はこれでいけそうだ。
幸せな気持ちに包まれる

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

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2019年9月28日 (土)

デリコの開演を待つ間、スピーカーについて語り合う

最前列で2階から入場。
階段を降りて始めにドリンク代の500円と引換にメダルを受け取る(交通系ICカードも使えた)
昭和の時代には公演のお約束だった「手荷物検査」は平成の時代で絶滅しており、もう行われていない。令和は「検査を知らない子どもたち」の時代になるだろう。

B2フロアにあるドリンクバーに直行して、ペットボトルのお茶を受け取り、B3フロアへ降りる。

座席は前から10番めあたり、最も左寄りの座席。
端っこに通路があるだろうと思ったら、壁ぎりぎりまで座席を設けていて一番奥まった席だった。
これは人が埋まる前にトイレを済ませておかねばと、荷物を置くや否や廊下に出る。
トイレの場所を尋ねると、サンボマスターのボーカルの人に似ている兄ちゃんが、にこにこしながら言う。
「あそこを左に折れて奥なんですけど、ちょっと分かりづらくて。また近くで聞いてください」
駅から徒歩10分くらい離れているかのような案内だが、実際にそのトイレはわかりづらかった。

戻ってくるとまたサンボマスターから声がかかる
「わかりましたか?」
親切だ。愛想がいいじゃないか。客商売はこーじゃなくちゃ。

開演まで、まだ50分近くある
「ほんとに2人みたいですね」
NAOKIとKUMIのために、ステージにセットされている椅子2つ。
仲野君が言う
「このステージセットと少ない人件費で、全国20カ所なんてぼろ儲けですね」
そうだね、原価率低いよね・・
この時は僕も疑うことなく同意したが、それは大いなる誤りだと後で気づくことになる。

「いいですね。楽しくなってきました」
仲野君がそう言っているのは、場内に流れているBGMに起因する。クラプトンやビートルズ、any old rock'n roll
「アコースティックギターがきゅっきゅっと鳴ってますよね」
それから、しばらくはオーディオ・スピーカーについて語り合った。
僕は中学の頃からオーディオにはまり、自分のおこずかいができた大学からは、スピーカーはダイアトーンDS25BⅡ、アンプはトリオ、カセットデッキはTEAC、プレーヤーはTechnicsを揃えていた。
やがて大人になり、音楽から離れた時代にそれらはすべて処分してしまったが、今でも有楽町のビックカメラに行けば、スピーカーの前で、しばし指をくわえている。
今はかつてのダイアトーンやヤマハのような「顔」のスピーカーがなくなったな。お、このJBLはそれに近いかも。でも、これを鳴らすにはアンプが必要だし、そもそも置く場所がない・・

いま、音楽を鳴らしているのは数年前に買った「BOSE M2」パソコン用の小型スピーカーだが、住宅事情のため、それさえも存分に鳴らせていない。大きいスピーカーを存分に鳴らしたいが夢のまた夢。
一方、最近、新築マンションに引っ越したひとり暮らしの仲野君は3LDKの間取りを持て余しているという。
それだったら、やり放題じゃないか。1つはAudio&Video roomにして・・・

徐々に客席が埋まってきた
男性比率は思ったより高い。7割、いや8割くらいか
そして、スキンヘッドにした人が結構多いな
(ライブの間ずっと帽子をかぶってる人もけっこういた)

僕は帽子を鞄に仕舞いこみ、スマホの電源を切って、時計を見る。
19:01 だが、まだ始まらない

LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live“TWO OF US" Tour 2019

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