生きる勇気
その友達、名前はハシモトさん(仮名)ということにしよう
ハシモトさんとの再会は10年ぶり
いや20年ぶりなのかも知れない
「何年ぶりかな」と2人で考えたけれど、正確なことはわからなかった。
お互い歳をとっているというのもあるが、だいたいの人は過去の記録を暦日で覚えていないと想う。
年賀状のやりとりを続けていたが、数年前にハシモトさんから「今年で年賀状は終りにして、来年からはLINEでお願いします」として年賀はがきにLINEIDが書いてあった。
当時の僕はスマホにLINEが入っているが、それはパスタ屋さんで「煮卵サービス」をもらうくらいしか使っていなくて、世間でよくいう「友達追加」というのをやるのは初めてだった。
それから、元旦になるとハシモトさんから年賀LINEが届き、僕もそれを返す
「また、みっちゃん行きましょう」
「いいですね」
最後に会った日に呑んだ店にまたいこうというのが、お決まりのやりとり
そうは言いつつ昨今僕は呑みに行くことがないので、いわゆる社交辞令だ。
2026年元旦
いつものLINEが届き、僕は「みっちゃん行きましょう」と返す
その返答にちょっと衝撃をうけた。
「実は一昨年、がんがみつかり・・」
昨今「実は」はとても安く使われていて「実は・・」で始まる話しが大したことだった例しがない。
「実はピーマンが嫌いで」
とか言われても「知らんがな」(心の声)と想う
去年「余命半年」宣告を受けたという
その半年が今だ。
文面によると今も体調はよくてスポーツを楽しんでいるというので「よかったら、お茶でも」と返した
それから3週間
ハシモトさんの治療スケジュールをにらみ、わりと状態がおちつく辺りを選んでファミレスで落ち合う。
「お茶じゃなくて、昼飯ビールでどうですか?」
というハシモトさんの申し出に即応した
5年前に泥酔して怖い想いをして以来「外では一滴も呑まない」ことにした。
一瞬「僕はウーロン茶で」と返そうとしたがやめた。
それじゃ、無粋だから
ファミレスで再会したハシモトさんは(20年前と)さほど変わらなかった
元々痩せていたから、痩せたと言われてもそうかなというくらい
髪の毛は前から寂しい感じだったので「髪の抜けない抗がん剤にしてもらった」と言われて、そこツッコンでいいのかと一瞬想ったがやめた。
世の中には、久しぶりの再会で「老けたな~」と第一声を発する人がいる。
そういうヤツに限って、びっくりするくらい老けている。
ある意味、この話題は武士の情けというか禁句だと僕は想う。
僕は久しぶりに会う友には開口一番「全然変わってないね」ということにしている。
「変わらない」と言われて怒るのは元パワハラ上司くらいだから。
ただ30代の男の中には「成長していない」と勘違いする輩もいるので、そこは要注意。
5年ぶりに外で呑むビール、久々の昼飲みは格別だった・・
かというとそうでもなく普通だった。
ハシモトさんが新薬や治験に賭けているポジティブな姿
それは、いつもと変わらぬハシモトさん過ぎて、あまり感慨がなかった
それから、1日経った今
生きる勇気を見せてもらったな
と想っている。
その話しを聞きながら、最近自分が悩んでいることや懸案は、とても小さいなと想っていた。
生きていればなんでもできる
ハシモトさんとはまた会うかも知れないし、これが最後なのかも知れない
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