「速度が落ちていますよ」とびびらせる小谷E 安全・生存へ大いなる一歩! H3ロケット3号機 だいち4号の軌道投入に「成功」
スマホが「H3打上げだいち搭載まで10分」と僕に教える
ロケット団の一味である僕は、打ち上げが延期されたニュースもチェックして、Googleカレンダーにアラートをかけておいた。
H3ロケットは、H2Aロケットに代わり衛星軌道投入事業を担う日本の大型ロケット。30年ぶりに新規開発された。
■H3ロケットの概要
・開発製造:JAXA(宇宙航空研究開発機構) 三菱重工
・用途:衛星の打ち上げ、宇宙への機材搬送
将来は米国のアルテミス計画でペイロード(機材等)搬送に活用される予定もある。
■H3ロケットの仕様
・全長およそ63m
・搬送できる重量:「H2A」のおよそ1.3倍
・打ち上げコスト:現行ロケットの半分程度
■H3ロケット 時系列の記録
2014年
開発スタート
2023年2月17日
H3ロケット試験機1号機打ち上げ
SRB3(Solid Rocket Booster3)不点火で打ち上がらず「中止」
2023年3月7日
H3ロケット試験機1号機打上げ
打ち上がったが第二段エンジンが不点火「失敗」
2024年2月17日
H3ロケット試験機2号機打上げ
人工衛星を軌道投入→ミッション「成功」
2024年7月1日(前日から1日延期)
H3ロケット3号機打上げ
今回もJAXAチャンネルで生配信が行われる。
キャスターはお馴染み、JAXA宇宙輸送技術部門エンジニアの小谷勲さん(以下、小谷E)と種子島宇宙センター広報の三村ことみさん(以下、ことみちゃん)
12:06:42
種子島宇宙センターの発射台からH3ロケットが打ち上がる
その火花と爆音に興奮する
そんなに煙を吐いても、しっかりと姿勢を崩さず飛ぶのはスゴいなと素人は想う
発射から1分4秒で機体はくもり空に吸い込まれた
ここからは小谷Eとことみちゃんによる、FIP*を見ながらの解説。これがお楽しみだ。
*FIP(フィップ)
Flight Status Indication System for Public
H3ロケットの打上げライブ中継で、ロケットの飛行状況を高品質に情報提供するためのシステム
第2段エンジン第1回燃焼開始時刻が迫る
心臓の鼓動が速くなる
試験機1号機(2023年3月7日)は第2段エンジンが燃焼開始せず「失敗」となった。機体の速度(数値)が落ちていくのを呆然と見つめていると、強制破壊措置がとられて先進光学衛星「だいち3号」を失った。
強制破壊しなければ、想定していない国や地域の領海に落ちることになる。ロケット発射では事前に時刻・航路を各国に開示しており、強制破壊により物体の落下する海域を示す。そのためにロケット発射は延期を含めて期間の制限がある。
実況「第2段エンジン第1回燃焼開始」
「ほっとしますね」小谷E安堵の声は、そのまま僕らの声だ
ところが、6分過ぎ 戦慄が走る
小谷E「速度が落ちてますよ・・」
1号機の「失敗」が蘇る。画面から速度の数値を探す。だが僕にはどの数値が落ちているかわからない。機体の軌道も外れていないし
そこに竹崎総合司令塔の実況アナウンス
「7分経過 第2段エンジン第1回燃焼は正常です」
小谷E「失礼しました」「他の数字を見ていました」
たのむよー^^;)
※15時35分からの会見第二部では、この場面について質問があった。
・質問
6分後、FIP画面で速度が落ちるような場面があった。どういうことだったのか?
・回答
「計画外の事象は把握していない」
「高度が上がるけれど速度が落ちるフェーズもある」
「いずれにしても確認する」
16:20経過
第2段エンジン第1回燃焼停止
16:38経過
ALOS-4 separation
だいち4号分離 軌道投入完了
関係者の歓声で ミッション「成功」を理解する
立ち上がって、よろこぶ人たちが映し出される
小谷E「FIPの時、心配させるようなこと言って本当にごめんなさい」
ほんと、そうだよ^^;)
去年はispace月面着陸、H3ロケット1号機と2度の失敗で憔悴したロケット団の皆さんは、びびったと想う^^;)
既に4号機の準備に入っていて、これからバンバン打ち上げると小谷Eが言う
小谷E「ここ(種子島)に見に来るのもカンタンじゃないですけど」
ことみちゃん「そういうチャンスも増えていきますね」
小谷E「なんなら、ここに住んでしまえばいいと想いますけど」\^^)オイオイ
小谷Eとことみちゃんの掛け合い、次の機会が楽しみだ
種子島には住まないけど
12時27分
JAXAコントロールセンターの実況は終了
小谷Eとことみちゃんが笑顔で手を振るエンディングは「成功」の証
廻りに誰もいないので、僕も手を振り返した
この静止画がしばらく僕のパソコンの壁紙になりそうだ
15:00
先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)/H3ロケット3号機打上げ経過記者会見をJAXAチャンネルが生配信
記者を集めて行われる会見の模様が同時に一般人が見られるようになったことは喜ばしい。
15:35
第二部
H3プロジェクトは2024年4月より新体制となっており、PMは岡田匡史さん(現在はJAXA理事 宇宙輸送技術部門長)から有田誠さんに替わった。
登壇した有田PMは「ほぼ完璧な打上げだった」と語った。
岡田匡史さんからなんと言われましたか?と問われた有田PM
「有田さん今日は記者会見大変だよ~たくさん質問出るよと脅された^^)」
1号機「中止」時(2023年2月17日)の会見において、岡田匡史PMに対して「それは一般に失敗と言います」と言い放った会社の記者は「成功おめでとうございます」と質問を切り出していた。
16:21
会見終了
だいち4号の本格運用開始は半年後
地殻変動や災害の早期発見など減災へ貢献していくことになる。
盛土された地域、土砂災害警戒区域にお住まいの方にとって、安全・生存への大いなる一歩が踏み出された。